ごく普通のサラリーマンの奥様の元職がスパイって。
その奥様と実母の相性の悪すぎる。
ある事故について妻は義母を疑いだし、夫は取引先のみです不正を知り巻き込まれていく。
バブル経済にわく日本で、ちょっと頼りなくて情けない感じのサラリーマンの正義と。
人とか人の対立には、先祖代々受け継がれる血筋に起因するものがあるというコンセプト。
最後はとてもほんわかとしながらも、やはり血筋は変わらないのか。
そして、2作目のスピンモンスター。
1作目のバブル期からかわって、これは近未来のお話。
相変わらず、主人公はトラブルに巻き込まれる、
読みすすめているうちに、1作目とつながっていく。
あー。
この感じ、好き。
読みながら落ち着かなさとか共感とか、大きくはないけど普段ちょっとした時に感じる嫌な気持ちをうまく拾ってくれてる感じ。
食べ物と仕事と恋愛と…という普通の話なんだけど、好きな本。
サクサクと読んでしまった。
以前、職場でよく感じていた違和感。
守られる側の人のと、その分を穴埋めする人。
仕事ができなくても仕方ないと周りから気遣われ、庇われる人って、どこの職場にもいるんだと思う。
それを肩代わりしながら、なんとなく釈然としない気持ち。
それと分かっていてうまく立ち回りながら、どこか醒めている主人公と、正面から向き合う同僚の立ち位置も面白い。
押尾さんと主人公の会話に共感することが多かったな。
けど、職場にはびこる釈然としない気持ちも、少し立場が変われば別の見方をするようになってくるもんで。
今や、肩代わりしている人が報われるためにも、できない人が上手くできるやり方や仕事を考えなくちゃいけない。
これはこれで、相当疲れる。
働きアリの法則とかが頭に浮かんでくるし。
それを片隅に押しやりながら悩む。
就活。
学生たちがどれほど翻弄されているのか。
この小説はミステリーであり、『誰が』という疑問が解き明かされて終わるものだけど、この曖昧なのに強制的なシューカツというシステムについて改めて考えさせられる。
就活生目線て描かれているが、アタシは逆の立場でもずっと疑問に思っている。
面接で分かるのはその人のほんの一部。
しかもいいところを盛り気味の。
なので、言ってることはだいたい同じにきこえてしまう。
この小説でも、採用側のインタビューが出てくる。
懸命に準備して就活に臨んでいる学生たちにとってはとても残念でやるせないけど、それが現実なんだろうなーと思う。
]]>伊坂幸太郎らしい一冊。
犯罪被害者のやるせなさとか、虐待の復讐とかが、いつもの独特な飄々としたニュアンスで書き進められていく。
作中作風、実は深くて重いことが描かれていながら軽やか。
冒頭からいろんな伏線的なものが散らばっている気がして、つい考えながら読むので一気読みになってしまう。
で、案の定、たくさん散らばってましたり
今作も人物がイイ。
あの二人組とか、またどっかの作品に出てきてほしい。
復讐ってなんだろう?
仕返しをすれば気が晴れるわけでもないし。
しかも、ニーチェ、読んだことないし。
『僕の全財産は僕を殺した本人に譲る』という意味不明な遺言を残して元カレが亡くなり、その元カレと共通の友人からその犯人になるために雇われる女性弁護士。
美人で頭も良くていつも自信たっぷりで、なによりカネが大好き。
歯に衣着せぬ主人公の言動にスカッとする!
そして、このほかに出てくる人たちもみんなクセが強めだけど、割とイイ人。
そして、その犯人選考会がどうなっていくのかな…などど思いながら読んでいけば、どんどんと別の問題が絡んでいく。
最後にはすっかりいろんなことがあるべきところに収まって、気持ちよく本を閉じることができる感じ。
なにか知識を得るために本を読まねば…というわけではなく、ただ単に面白いから読むというアタシのような読書には、読後感も大切!
]]>すごーく久しぶりに伊坂さんの本を読んだ気がする。
初期のころのものが大好きで、わりとずっと追いかけてきたけど、久しぶりに手に取った。
さくっと軽く読めるけど、ちょっといい感じに心に残る。
5つの短編は子どもたちが出てくる。
小学生の頃に一番身近な大人って親の次に先生。
先生だからって威張っていいわけじゃないし、自信たっぷりじゃなくていいし。
相変わらず会話がいい感じ。
軽い感じのセリフにちょいちょい立ち止まる。
優しく、誠実な大人は素敵。
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一年以上前に買って本棚にしまってしまい、すっかり忘れていた本。
久しぶりに目にして読みかけてみたら、止まらなくなってしまって一気読み。
ありえないほど不遇な状況にありながら、愛情たっぷりに育つ子のオハナシ。
ちょっと設定に無理がある気がしないでもないけど。
それでもなお、登場する大人たちが全力でこの子を大切に育てようとする感じがたまらない。
親と子の関係って難しい時期も確かにあるし、大変なこともたくさんあるけど、大事に思う気持ちがあれば大丈夫って思える。
近ごろは小説ではない本ばっかり読んでるけど、やっぱりアタシはこっちが好き。
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読み始めたときに感じたのが、柔らかい京都弁のいい感じ。
台詞を目で追っているだけなのに、なんだかほっこりする感じがする。
読み進めるうちに、京都という良くも悪くも伝統的な地が持つ何かをひしひしと感じるようになる。
京都は観光で行くところだという認識しかない。
そこに暮らす人たちを羨ましい気持ちがないわけではない。
神社仏閣に疎いアタシでさえ、何度も行ったことがある名所がたくさん。
そしてにぎやかな通りやら、自然やら…。
だけど行くと住むとじゃ大違いなんだろう。
地形的にも山に包まれるようにある京都。
心理的にも同じように守られている、あるいは閉ざされていると感じるという。
これはそんな京都の狭くて重い地に暮らしている三姉妹のオハナシ。
おっとりした長女は三十を過ぎて結婚に焦りを感じている。
いわゆるモテキャラで女子からは嫌われがちな次女。
大学院でコツコツと研究をする三女。
三女が東京で就職したいと言った一言に、まったく理解できない両親。
そこで生まれ育ち、どこよりもいいところだと信じているのは両親だけではなく、三女本人もそうなのに、どうしてもかみ合わない感じが、歯がゆくて、でもなんとなく分かる気がして。
最後はハッピーエンド。
この終わり方はもちろん悪くないし好き。
だけどちょっと物足りない感じも。
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明るい気分になりたくて、荻原サン。
東京で自らデザイン事務所を構えているものの、仕事はほとんど入ってこない中、妻と息子と慎ましく暮らしている主人公。
父親の急病の知らせを受けて地元に帰ると、家業の農業が彼を待っていた。
富士山のふもとの田舎町で、仕方なく母を手伝いながら農作業をするうちに、夢が膨らんでくる。
イチゴ農家というその夢と、東京で待つ妻と息子。
内容自体は前向きだし、面白いし、なんといっても読みやすい。
ただ、なんとなく、農業のことすごく勉強したんだろうなって思うような、なんていうかちょっと説明っぽい感じが否めない。
気軽に読みやすいっていうのが作者のウリなのにな〜。
そして内容も前向きですごくいいし、読みながら応援したくなる。
けど、ちょっとあまりにも都合良過ぎる感じがして。
最初から取引先が何箇所もできたり、客が来たりする?
農家さんっていうのはつくづく大変なんだと思う。
天気とかイキモノとか、自分でどうにもならないモン相手にしてるし。
そのうえ地域とか仲間意識とか高くて、それは逆にヨソモノを良しとしない風土にもなってる。
実際この小説、楽しく読みながらも、いろいろなことが気にかかって仕方がない。
もちろんハッピーエンド。
独自ルートでのイチゴの取引(しかもネット、産直スーパー、地域の飲食店とバラけてて、そのうえ海外にまで!)が始まり、観光農園も上手くいき、懸案だった妻と息子との暮らしも戻り。
そしてイチゴ農園の夢はさらに広がり……。
あまりにもハッピーすぎる終わり方に、楽しく読んでた気持ちが最後になって醒めてしまった感じかな〜。
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今年の一冊目はほっこりした感じのものでも読もうかということで有川さん。
タイトル「アンマーとぼくら」の「ぼくら」って兄弟かなにかかと思いながらスタートしたけど、ちょっと違ってたみたい。
小学生のころに母親を病気で亡くし、父がその後すぐに再婚。
そのために北海道から沖縄に連れてこられた男の子のハナシ。
子どものような父親に振り回されつつ、それ以外の選択肢がなく沖縄で暮らし始める。
なんだか切ないハナシだな〜。
そんな彼が三十を過ぎ、おかあさんの休暇にあわせて沖縄に帰郷し、3日間を過ごすというもの。
父親はすでに亡くなっていて、母と息子二人で、3日間、思い出をめぐりながら観光地を回る。
途中で子どものころの自分たち家族と出会ったりという、ちょっと不思議な体験をしたり。
読んでいて、悪い気はまったくしなくて、途中で泣けてきたりもするが、なんていうのか軽い気がして。
結構重い話なんだけど、こんなふうに読めるのは、沖縄だからか、作風なのか。
どちらにしてもふわりと読み終えた感じ。
だけど、最後に明かされた不思議な体験の顛末はちょっと微妙。
さらにその後にちょこっと描かれる移住の成功話もなくてよかったかな〜。
それでもまぁ、家族のこと大事にしなくちゃなと感じた一冊。
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ちゃんとしたフレンチ食べに行くって、近ごろまったくないことに気づく。
恵比寿のジョエル・ロブションに連れてってもらったのが最後かもしれない。
うわ〜!お城みたい〜と、やたらテンションあがったのは、はて?何年前のことやら。
まだまだ日本でフランス料理がなんなのかしっかりと認知されていないような時代、
ひとりヨーロッパに乗り込んでレストランでの修行を積んだという井上さんの本。
いまや日本のフレンチでは押しも押されもしないようなシェフに。
途中にはいろいろな料理についても書かれていて、なんだかおいしそう。
そして昨今の日本のフランス料理に対する井上さんの歯がゆさも垣間見えて興味深い。
フランス人がフレンチに醤油を使ってみようと思ったとしてもまぁいいけど、日本人がフレンチに醤油を使っちゃダメ!
…みたいな。
なんとなくその思いって分かるような気がする。
ホンモノ。超一流。王道。
そんなところを目指している人がどんなことを思ってどんなふうに行動するのか。
そんな風に思いながら読んでみたけど、やっぱり行動するって大事なんだなとつくづく思う。
料理はただ食べるものじゃなくて、五感で味わうもの…らしい。
それを提供するレストラン側は、自らもそれを磨かなくてはならない。
そのためには、一流の場所で一流のものを食べることはもちろん、一流の人たちと会話することがとっても大事だって。
たまにはちゃんとしたもの、食べなくちゃ。
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勤労感謝の日。
だいたいこの日は、気持ちよく勤労させてもらえることに感謝する日ってことで家族サービスに精を出す日にしてたんだけど、いまや感謝する家族も近くにいないのでぶらりとおでかけ。
道の駅で大きな柚子をみつけた。『獅子柚子』っていうんだって。
で、手っ取り早く柚子湯にしてみることにした。
実はコレ、柚子ではなくて文旦とかの仲間らしいんだけど、そのせいか普段は柚子湯がダメなアタシの肌でも問題なし。
久しぶりにお風呂でのんびりできて、いいお休み。
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久しぶりに池井戸さん。
それまで大のお気に入りだったのに、例の半沢さんのドラマで有名になってしまって、なんだかちょっと愛着が薄れたように感じてたけど。
やっぱり読んでみるとオモシロイ。
がんばる経営者の苦戦を描いた相変わらずのものだけど、やっぱり単純に感動するし、手が止まらなくなるし。
百年の歴史を持つ老舗の足袋製造業者が、新たな事業としてランニングシューズに参入。
そしていろんな課題とか問題にぶつかりながらも、実直な経営者は前に進もうとする。
できるかできないかではなくて、やりたいかやりたくないか。
地道に積み上げるしかない信頼。
夢の実現と現実の厳しさとか、裏切りとか。
そんな葛藤が、読みながらストンと素直に入ってくるかんじ。
こういうの読むと、自分のことをふりかえるいいきっかけになる。
そして読み終えて、なんだか気分がいい。
マンネリだろうがなんだろうが、こうして前向いてがんばる市井の人たちをこれからもずっと描いてほしい。
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評価:
柴崎 友香,岡田 利規,山崎 ナオコーラ,最果 タヒ,長嶋 有,青木 淳悟,耕 治人,阿部 和重,いしい しんじ,古川 日出男,円城 塔,栗原 裕一郎 新潮社 ¥ 4,104 (2016-07-29) |
想定がなんかキレイでちょっと大きめの本。
いろんな作家のアンソロジーだと思ってたんだけど、
どうやらもうちょっと、こう…アートっぽいヤツだったみたい。
なので、中を開いてみると、なんていうのかなぁ、なんだかやたら凝ってる。
カッコいいのかもしれんが、いかんせん読み辛い。
そして、ちょっとアートに惑わされて入り込めなかったのか、
面白いと思える短編にめぐり合えず……。
アタシには芸術的すぎたのかも。
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アタシが本を読むのはただのシュミ。
なので基本的に読むのは小説。
中でも毒にも薬にもならないようなのが好き。
だけどまぁ、こうして手渡しでオススメされた本は読まなきゃな。
ということで手にしたコレは、とにかく読みやすい。
難しい言葉を並べ立てるでもなく、平易な感じがいい。
そしてアタシが普段感じていることを代弁してくれているような内容ばかり。
こんなに共感できるなんて、アタシの感性って素直すぎるんじゃなかろうかと思えるほど(笑)
「ネタ」「モノ」「ヒト」「カネ」「組織」というくくりで、何が問題で、どうすればいいのかを説いてくれている。
あげられる問題も、まさになんで知ってるの?と思うほど、文句なく的を射ているし、
じゃ、どういうことをしなくちゃっていうのも、ホントによく理解できる。
ただ、それがでできればこんな苦労はないわ〜と愚痴りたくなったりもして。
有名なサッカー選手がよく言っていた『個』というコトバ。
組織の中ではこの出し方がすごく難しいと日々感じている。
著者がいう『無責任な100人の意見より行動する1人の覚悟」みたいな感覚を大事にしたいな。