アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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ひかりをすくう
ひかりをすくう
ひかりをすくう
橋本 紡

ふわりとした感じ。平和な感じのもの。
パッと見たところそんなイメージだったので選んだ。
ちょっと力を抜いてサラリと読もうと思って。
ところが、これがなぜか、かなりアタシのツボに入った。
なんでもないことが描かれているだけの小説なのに、ものすごく切なくて下手すると泣いちゃいそうな。
たまに、ストンと気持ちに落ちるところとか、自分のことを考えちゃうようなところとかあって。

仕事が楽しくて、褒められて認められることがうれしくて、それなのにそれに絡めとられてしまった智子サンというのが主人公。
一生懸命、だけど本当に好きでやっていた仕事なのに、忙しさに身動きがとれなくなり心身を痛める。
そんなときに居合わせた哲ちゃんと、付き合いだし、一緒に暮らすようになり。
だけどやっぱり、増えていく仕事とか負いきれない責任とかそんなものでがんじがらめになってしまっていることに気づき、あるとき仕事をやめることを思いつく。

その後、二人でちょっとした田舎町に引っ越す。
30代にして二人ともが無職。
貯金を食いつぶす感じの生活。いわゆるセミリタイア。
なんていうと、どちらかといえばネガティブな印象なんだけど、全然違うのね。

引越し先の田舎での二人の毎日が、淡々と描かれているというのが、この小説のほとんど。
まぁ、生まれ育った田舎町の息苦しさとか、父との確執とか、引きこもり少女との関係とか、いろんなディテールはあるものの、ベースは彼と彼女との日常生活。
なんていうのかな。再生っていう感じ?
そうそう。ニートっぽい2人の生活なのに、なんか前向きに終わる。
可能性って子どもほどじゃなくても、大人にだってあるんだっていう。

不安定な彼女を軽い感じで支えている哲ちゃんが最高に素敵に描かれている。
そしてその哲ちゃんと彼女との生活が、とてもうらまやしい。
何かにとらわれるんじゃなくて、やりたいこととか気持ちいいと思えることを選んで暮らしている。

文中でも出てくるけど、生活するってキレイなことばっかりじゃない。
嫌なこととか、汚いこととかも絶対に出てきて、それを放っておくわけにはいかない。
奇麗ゴトだけで生活している二人は、ただ現実から逃げているだけなのかって。
だけど、果たしてそうなんだろうか?
この2人みたいに、大事なものだけを持って、いらないものを捨てて。
そうやって暮らしていければ、どんなに素敵だろう。

アタシにも大事なものはある。
たくさんあるような気もするけど、ホントにそうかな?
本当に大事なものだけを数え上げると意外と少ないような気がして、ちょっと考えてみた。
大事にしている人間が近くにいて、それなりに気持ちよく働いて、少しは本を読んだりおいしいものを食べたり。
日々好きな人のことを思いながら、たまには大事にしてもらって。
そんだけでもう、両手に余るぐらいに持っているのかもしれない。
大事なモンだけを選んで、それだけをもって生きていく潔さに憧れる。

内容
私にとって、ありふれた日常が最良の薬になった。
注目の著者が、ひとの可能性を描く切実な物語。

単行本: 246ページ
出版社: 光文社 (2006/7/21)
ISBN-10: 4334925081
ISBN-13: 978-4334925086
発売日: 2006/7/21
JUGEMテーマ:読書




| 橋本 紡 | 23:01 | comments(0) | trackbacks(3) |
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橋本紡 「ひかりをすくう」
半月の月がのぼる空もさることながら本書もよく出来ていますね。ニートのような生活をする二人。お金がなくても、彼らは幸せ。
| ゼロから | 2008/04/16 1:13 AM |

「ひかりをすくう」橋本紡
タイトル:ひかりをすくう 著者  :橋本紡 出版社 :光文社 読書期間:2006/10/30 - 2006/10/31 お勧め度:★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 私にとって、ありふれた日常が最良の薬になった。注目の著者が、ひとの可能性を描く切実な物語。 一生懸命
| AOCHAN-Blog | 2007/12/09 9:38 PM |

ひかりをすくう*橋本紡
☆☆☆・・ ひかりをすくう橋本 紡 (2006/07/21)光文社 この商品の詳細を見る 智子は、仕事を辞めることにした。評価の高いグラフィックデザイナーだったが超多忙の生活を送るうちに、...
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