アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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凍える牙
凍える牙
凍える牙
乃南 アサ

ファミレスで突然男が燃え始める。
かなり穏やかじゃない序盤。
動き始めた警視庁でコンビを組むことになった中年オヤジ刑事と女性捜査隊。
このコンビは、先日読んだあの風の墓碑銘のコンビだ。
っていうか、アタシの読む順番が逆になってるだけで、こっちが最初。
本作でこの2人は始めてコンビを組んでいる。
前後逆になってはいるが、風の墓碑銘よりはこっちのほうが、この2人の関係がすごくうまく出ている。

ファミレスで燃え尽きた死体のあとにでてきたのは、咬み殺された死体。
これがなかなかつながらない。
っていうか偶然でつながってる感じだから、焼死体の方はなければないで、あんまり問題もなかったのかもとは思った。
アタシとしては犬の方だけでもシンプルですごく強い意志を感じられる事件となってよかったんじゃないかとも思うんだけど。
けどまぁ、この序盤はかなりインパクトをもたせることに成功しているんで、やっぱりあってよかったのかな。

この小説では警視庁という狭い社会。
身内意識の強い世界の中で、恐ろしく根強く残るオトコ社会。
そのなかで女性捜査官のつらさとか苛立ちとかを、とてもうまく表現している。
象徴的に書かれているのが、相棒の中年刑事。
彼が女性捜査官に対して抱いているイメージとかが、ありありと見えるよう。
そして最後には、それでもいろんな部分を認めつつある姿にも、うれしい思いをする。
この2人の関係性の発展がこの小説の中でも大きな意味を持っている。

そして事件のほう。
こっちはもう、その犬の賢さ、カッコよさ、誠実さ……。
決して犬好きでもないアタシでさえ、あこがれてしまいそうな動物。
動物というよりは人格を持ったひとりの人間のように描かれている彼が中心だ。
なんともいえない後味を残す結末ではあるが、とってもキレイな終わらせ方。
死ぬなよ疾風……。って思いながら読んでいて、ホッとしたのもつかの間。
ちょっと泣けてきた。

総じてこの小説はわりと面白い。
強いて言えば前段で書いた部分とあわせて、犯人の動機付けが今ひとつ説得力がないところが気になる。
だけど犯人の動機なんて、まったくもって意味不明なわけだし。
まぁ、なんにつけ、この作者も結構な読ませる力を持っているに違いない。


内容(「BOOK」データベースより)
深夜のファミリーレストランで突如、男の体から炎が噴き出した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された死体が発見される。二つの異常な事件に繋がりはあるのか―。捜査を開始した警視庁機動捜査隊・音道貴子と相棒の刑事・滝沢の前に、得体の知れぬ力を秘めた野獣が次第にその正体を現し始める。怒りと悲しみの牙の矛先は、誰に向いているのか。首都高速を舞台に、貴子と獣のスリリングな追跡劇が火蓋を切った。ハードボイルドでハートウォーミングな気鋭の大熱作。

単行本: 380ページ
出版社: 新潮社 (1996/04)
ASIN: 4106027453


| 乃南 アサ | 16:45 | comments(1) | trackbacks(3) |
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コメント
NAME : J
DATE : 2006/12/20 9:10 PM
こんばんは。TBありがとうございました。
いろんな作家さんの本を読まれているんですね。すごいカテゴリー・・・。


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