アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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出口のない海
出口のない海
出口のない海
横山 秀夫

戦争をテーマにした重い小説。
戦時中の日本で大学野球を行っている男子学生。
小説の前半は、怪我に対峙しつつ野球への思いを書いた
まさに青春小説という雰囲気がいっぱいだが、
後半は学生も戦争に駆出されるようになって、
戦争という狂気の時代の中で、
死を見つめ、受け入れ、そして反発し、
戦争の目的を問いながら日々を過ごす、
戦争小説になっている。

「神風特攻隊」というのはよく聞くが、
ここでは人間魚雷「回天」という
恐ろしい兵器が取り上げられている。
兵器の一部に人間が組み込まれたもの。
よくもまぁ、こんな恐ろしい兵器を思いついたものだ。
これもまた戦争という狂気がそうさせるのか。

人間魚雷の搭乗員。
つまり、確実に死ぬことが決まっている兵士。
そんな状況の中、自暴自棄になったり、
悟りを開いたようになってみたり、
生きることへの執着を感じたり、
家族や恋人への思いを断ち切れなかったり。
そんなふうに浮き沈みを繰り返しながら、
ようやく出された出撃の令。

それはまさに死に向かう出撃のはずだったのに、
いざ心を決めた直後、機械が動かずに船に戻る。
いったいどんな思いがするんだろう。
もしかしたら助かったと思うのか?
などと思ったが、この主人公は抜け殻みたいになっちゃった。

そして最後には、まったく別のことを思いつく。
自分が死んでまでその兵器になる意味。
戦争のために人間魚雷に乗り込むということの意味はなんだ?
負けかけている日本で、自分ひとりの命で何が救える?
家族がみな殺され、また自ら志願して兵器になるよう教育され……
そんな世の中のために死ぬんじゃない。
そんな日本の未来を守りたいんじゃない。

日本は降伏して、一からやり直すべきだ。
そのときに、こんな恐ろしい兵器があったこと、
そしてそれに乗り込んで死んでいった人間がいること、
そういったことを封印することなく、
次代に残すことで、戦争の愚かさを伝えたい。
……聖人のようだ。

この平和な日本で平和ボケしているアタシ。
やっぱり平和のありがたさとか、戦争の悲しさとか、
そういったことに思いを馳せることを忘れちゃダメだな。

単行本: 301 p
出版社: 講談社
ISBN: 4062124793 ; (2004/08/06)

甲子園の優勝投手は、なぜ、自ら「人間兵器」となることを選んだのか。
人間魚雷「回天」海の特攻兵器。脱出装置なし。
甲子園の優勝投手・並木浩二は大学入学後、ヒジを故障。新しい変化球の完成に復活をかけていたが、日米開戦を機に、並木の夢は時代にのみ込まれていく。死ぬための訓練。出撃。回天搭乗。しかし彼は「魔球」を諦めなかった。
組織と個人を描く横山秀夫の原点。


| 横山 秀夫 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(2) |
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(書評)出口のない海
著者:横山秀夫 「回天」。発射と共に搭乗者の死を意味する人間魚雷。第2次大戦末期
| たこの感想文 | 2006/07/29 9:01 AM |

『出口のない海』横山秀夫
出口のない海 横山 秀夫 2006年 講談社文庫 P.344 ★★★★★ 我慢比べをしているだけではないのか。誰もが死にたくなくて、なのに、死にたい、死んでやる、と虚勢を張っている。そうではないのか。 だが、そうだとは決して言ってはならない現実がこ
| ほんだらけ | 2006/07/22 12:01 AM |


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