アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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誰にも書ける一冊の本
本を開くなり、なぜか大き目の活字が気になる。
これはなぜ?

東京で小さな広告会社を営みながら細々と小説を書いている男。
父の病状悪化の知らせを受けて地元の北海道に戻る。
病室で彼を待っていたのは、機械につながれた父の姿と一束の原稿用紙。

それは父が書いた自伝だった。
淡々と生きていた無口な父。
ドラマティックなエピソードなんて聞いたことなかった。
ところがその自伝の中の父は、彼が知っている父とは違っていた。
子どものころに熊と戦ったエピソードや
戦争に出向いた血気盛んな父の姿。
その後職場の中で仲間とともに戦う姿。

読みながら彼は、その原稿用紙に書かれた話を
自伝ではなく、自分を下敷きに描いたフィクションだと思った。
父が書いた文章を読みながら、あるときは息子として父に思いをはせ
あるときは同じモノ書きとして厳しい目で見る。

そんなことを繰り返しているうちに、父が息を引きとった。
その後、争議の手配をして通夜が行われ、その間も彼は父の文章を読み続ける。
そして気づく。
もしやこれはやっぱり自伝なのではないか。

父と息子という関係、そして明治生まれの男。
そんなことを思うと、父が自分について多くを語らなかったことも珍しくはない。
なんせ息子である彼も、自分の子どもに多くを語ってはいない。
世代の間ですべてのことは繰り返されていく。
そんなことを強く感じた。

そして葬儀の日。
大雪が降って移動に厳しい朝となった。
そんな中、自宅から外を見ると
初めて会う人たちが父を見送るためにその家に向かって歩いてくる。
初めて会うのに知っている人たち。
父が書いた自伝の中に出てきたあの人やこの人。

荻原さんの作品にしては淡々と読んだな〜と思いながら迎えた終盤。
やっぱりここでホロリと泣かせてくれるんだなぁ。
さすが荻原さん。
やっぱりアタシ、この作家さん好きだな。


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| 荻原 浩 | 09:19 | comments(0) | trackbacks(1) |
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「誰にも書ける一冊の本」荻原浩
死の床にある父親の著作を読む息子。 まさしく「人に歴史あり」の作品。    【送料無料】誰にも書ける一冊の本 [ 荻原浩 ]価格:1,260円(税込、送料別) この作品、広告製作会社経営の主人公と父親が交互に登場。 話に奥行きを持たせている。 入院中の父親、命が危
| りゅうちゃん別館 | 2012/12/12 9:05 AM |


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