アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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ニサッタ、ニサッタ
評価:
乃南 アサ
講談社
¥ 1,785
(2009-10-21)

この厚さと重苦しい内容の割に読みやすい一冊。
今の時代の底辺のあたりをサクっと掬って描いたみたいな。

大学を卒業して就職した主人公。
ところが数か月でやめてしまい、しばらくは無職状態。
その後勤めた会社が今度は倒産。
というかある朝出勤すると、すっかりもぬけの殻になっていた。
それからの彼が描かれている。

この主人公はやっぱり読みながらいらだたしい気持ちを覚える。
派遣の仕事をしていて、正社員から偉そうにされたとかいってやめてしまう。
自分には向いてないだのなんだのいってやめてしまう。
そうこうするうち、住んでいた格安のアパートさえ追い出される始末。
そしてとうとう消費者金融に手を出す。

そこからは転げ落ちるような様子がなんとも切ない。
多少怠惰だけど、びっくりするほど怠けものでもない。
ましてや悪人でもない。
そのうえ借りたお金も、贅沢品を買うためとかではなく住む場所を確保するためのもの。
まぁ、選び方が甘すぎるって言えばそうだけど、それでも馬鹿な散財というわけでもない。
それなのに、こんな窮地に陥ってしまう。

読みながらちょっと怖いな〜と思ってしまった。
ほんのちょっとの考えの甘さとか、ちょっとしたタイミングとカですべてが無くなっていく。
実家に頼れないというそれだけで、自分で何とかしようと思ったことで、
住む場所さえなくて、いわゆるネカフェ難民のようになってしまう。

今の時代はこういう人のことはだれもが知っている。
ネットカフェで寝泊まりしながら、日雇いの仕事をしている若者たち。
なぜそうなるまでに何とかしなかったのか?
とかどうして思ってしまう。
確かに社会のセーフティネットは脆弱すぎて頼れない。
だけど、もうちょっとなんとかできたのではないかって。

ところがこれを読んでいると、その考え方もちょっとやっぱり一方的だと感じる。
本人が、これではマズいと遅ればせながら思ったところで、どうにもならなくなっている。
気づくのが遅かったと言えばそれまでだが、気づいた時点でやり直しができない世の中って。
なんとも世知辛いな〜。

まぁ、これは小説だし、この中では彼には帰るべき家がある。
頼れないにせよ、住むべき家がある。
そして落ち着いて暮らし始めたところで、彼はまた自分の甘さのせいで失敗する。
あぁ。もうどうしようもなくダメな奴。
もう自分なんて消えてしまいたい。
そう思いながらも、立ち直っていく様子がイイ。

ただ、ちょっと気になるのはアイヌだなんだまで出してきて人権のことも混ぜ書きされている。
これはこれで彼が立ち直るきっかけとして使われてるんだろうけど、ちょっとココいるのかな〜。
貧困に陥る若者と、そこから立ち上がっていく姿だけを描いたほうがスッキリ読みやすいかもって思ってしまった。


JUGEMテーマ:読書




| 乃南 アサ | 15:50 | comments(0) | trackbacks(1) |
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