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かあちゃん
評価:
重松 清
講談社
¥ 1,680
(2009-05-29)

なんだかこのところ父親と子どもとの関係を描いた小説づいていた重松サン。
今回は、ずばりタイトルどおり母親。
いつも忙しくて苦労ばかりの昭和の母親。
いじめや仕事との両立など別の苦労をする平成の母親。
冷たいほどに厳格だったり、悲しいほどに優しかったり。
いろんな母親の姿がジンときます。

8編の連作モノ。
冒頭で描かれるのは昭和の母の決意。
夫が交通事故死し、同乗していた同僚も亡くなった。
小学生の子どもを抱え、強く静かに生きていくこととあわせて、その同僚の死を償い続けると決意した母。
以後二十年以上、笑うこと、楽しむことを自らに禁じ、自分をいじめるかのように働き、生きてきた母。
それを三十代になった息子の目線で描いている。
この昭和の母の愚鈍なまでの償い。
この行為が平成を生きる中学生やその母親たちの気持ちを動かしていく。

話の核は中学校でのいじめ問題。
いじめる者、いじめられる者、いじめられるのが怖くていじめに加担せざるを得なかった者、傍観者。
いろんな立場の中学生たちが、それぞれに心に嫌な想いを抱いている。
いじめを受けて自殺未遂、その後転校。
そんな一件から数ヶ月。その嫌な想いさえ忘れてしまいそうな日々。

「謝る」ことと「償う」ことは違う。
相手に許してもらうことを前提に謝るのに対して、償うのはただ償うのだ。
償い続けるということは、自分が傷つけた相手のことをずっと覚えているということ。
つらくても、たいせつな何かを自分が忘れないように。

そうしたことに中学生たちが気づいていく過程が、実に優しく書かれている。
そしてその母親たちやまた中学校の教師たちの心の動き。

あー。でも一番泣きそうになってしまったのは、中学校の教師の編かな。
育児休業から復帰したばかりの女性教師。
隙が無くてしっかりしていて頑張り屋で……という先生。
仕事と家庭生活を両立させるのは本当に大変なのに、そんなふうに周りに思わせることなく。
でもその一方では、子育てほど思い通りにならないことはないことに、誰かに頼らざるを得ないことに苛立ちやもどかしさを感じている。
子どもを保育園に預けて仕事をしている母親なら誰もが通る道。
この時期の、仕事を持つ母親は一生のうちで一番多忙なんじゃないのかな。
時に苛立ちながら泣きながらも、思い通りにならないという事実を受け止める彼女にとても共感を持つ。
勝ち負けで言うと絶対に負けだろう。仕事も家事も子育ても、どれも自分に満足いくようにはできなくて。
そんな中で彼女が言う「負け続けてるとちょっとした勝ちがうれしい」という言葉が心に残った。

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【かあちゃん】 重松清 著
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