アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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ストレイヤーズ・クロニクル ACT-1
本多さんの小説といえば、なんとなく静かな印象。
そして割りと好きな作家だという感じ。
ところがコレ、本を手に取った途端に違和感。
なんだこの装丁は?
漫画なのか??

とか思いながら読み始めたんだけど、
なんとなく抱いている印象とはやっぱりぜんぜん違う感じ。
スピード感があってアクションを想像しながら読むには楽しい。
ちょっと特異で能力のある人物がワンサカ出てきて。
楽しみながら読むのにはいいな。

ただ、本多サンに抱く雰囲気とは違うところにあって、
やっぱりちょっとどっか納得できなかったりして。
それでも登場人物は魅力的よ。
なんかどこかに特別なものを持つヒトって、やっぱりカッコいいし。

これってACT-1ってなってるけど、やっぱり続編あるんだろうな。
まぁ、読むんだろうな。

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| 本多 孝好 | 23:41 | comments(0) | trackbacks(1) |
at Home
評価:
本多 孝好
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,575
(2010-10-27)

家族をテーマにした4つのお話。
4つとも、いわゆる普通の家族とはちょっと違っている。

一つめは表題作『at Home』。
これは読みながら、「あれ?この家族なんか知ってる」って。
父は窃盗、母は結婚詐欺を生業としている。
そこには子供が3人。
一番上のお兄ちゃんはすでに働いている。
妹には私立高校に行かせてやりたいと思っている。
そして一番下の弟はゲームばかりやっているが、実は兄はこの弟の洞察力に一目置いている。
そんな一風変わった家族。
そしてもっと変わっているのは、彼らに血のつながりがないこと。
心を痛めながら血のつながった家族と一緒にいることを捨てた人たち。
赤の他人でも一緒にいて心が落ち着く人と一緒に暮らそうと決めた人たち。
家族ってなんだろう。
血のつながりなんかなくっても、こんなにお互いを思いあって暮らしている家族って素敵。
本当に大事なものを守ることができる人でありたいと強く願う。

つぎの『日曜日のヤドカリ』は確実に何かで読んでる。
なんかのアンソロジーだろうか。
このお話はとっても好き。
これも血のつながらない父親と娘の話。
小学生の子連れの女性と結婚した男。
彼がこの小学生と2人っきりで過ごす日曜日を描いている。
この父親がとってもすばらしい。
大事なことは複雑に考えるのではなく、直感で感じた守るべきものをしっかりと守るということ。

『リバイバル』は、なんともやさぐれた感じの一人暮らしの男。
50にもなって居酒屋で毎日働き、そして毎月コツコツと借金を返済している。
離婚後、子供の養育費を要求され、タチがよくないところからした借金。
相手のヤクザも毎月律儀に集金にやってくる。
そんな折、そのやくざからの申し出から、外国人女性と結婚することになる。
見知らぬ、しかも身ごもっている外国人が毎日部屋にいる。
そんな日々をすごしていく中で、自分の過去と向き合うようになる。
ほのぼのとしたエンディングがいい。

最後の『共犯者たち』もとても好き。
子供のころ父親が出て行き、母子家庭で育った2人兄妹。
大人になりそれぞれ家庭を持っている2人。
妹から子供を預かったときに、その子の体に虐待の跡を見る。
その子を父親の元に返した兄。
ところが何年も会うことなく暮らしていた父は、妹を信じるという。
……何も疑うことなく、とにかく信じることができるって羨ましい。
そして長年離れて暮らしていても、元夫のことを、元妻のことをお互いわかっている関係性って素敵ね。



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| 本多 孝好 | 23:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
will
評価:
本多 孝好
集英社
¥ 1,680
(2009-10-05)

これは『moment』の続編かな?
ちょっと変わった、でもアタシの好きな感じの男の子が主人公だったmoment。
その彼女である葬儀屋の女性が主人公。

話の流れはとてもスムーズ。
彼女が営む葬儀屋に持ち込まれる、ちょっとした不思議な出来事。
自らが葬儀を執り行った死者にまつわることになると放っておけない。
そしてそれらは決して霊的なものとカばかりじゃなくて、人の気持ちをちょっと掘り下げたようなもの。

とても読みやすい。
この女性も、ぶっきらぼうで強がりでどこか憎めない。
そして海を隔てた彼氏への思いを大事に思ったり重荷に思ったり。
ちょっと共感できるところもあったり、なんで?と思ったり。

悪くはない。
ちょっと優しい気持ちになれたりして。
だけどちょっと物足りない感じもしないでもない。

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| 本多 孝好 | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
チェーン・ポイズン
チェーン・ポイズン
チェーン・ポイズン
本多 孝好

これまでアタシが勝手にもっていた本多さんのイメージとは異なる感じ。
結構なボリュームの小説だったけど、一気に読みきってしまった。
ミステリっぽい雰囲気も醸しつつ、だけどこの小説のテーマは「生きること」というものすごくヒューマンなもの。

あるOLが服毒自殺をした。
それを知った週刊誌の記者は、その直前の有名人の服毒自殺との関連を想像する。
そして彼はそれらの自殺について調べ始める。
関連は同じ毒物による自殺であるということと、自殺のきっかけとなるような時期から1年を経ての自殺であったということ。
メインはものすごく平凡で静かに生きていたOLの自殺。
彼女はなぜその時期に自殺したのか。
その毒物はどこからどうやって入手したのか。

時間軸が前後しながら進む形なので、読んでいるアタシには分かっている。
……分かっていたつもりといったほうがいいのかな。
最後の最後に、「アレレ??」とまた最初の方を読み返してしまった。
これはどんでん返しというよりは、アタシの勝手な読み間違いだったのかもしれない。
これってちょっとビックリだし、勝手に読み違えてただけなのに「やられた〜」とうれしい気持ちになってしまった。

将来に明るい展望もなく同じような毎日を暮らす。
そして誰からも必要とされていないと感じる絶望。
そういうのってさぁ、なんか分かるわ〜。
ただ、死んでもいいかな〜って思うのと、実際に死のうとするのとは大きく違う。
積極的に死に向かうには、大きな壁が立ちはだかっている。
その壁の向こう側に行くためには多くの気力や労力がかかる。
その壁にドアをつけて、向こう側へ行きやすくした見知らぬ人。

たまたま公園で死にたいとつぶやいた彼女に、隣に立っていた人が声を掛ける。
本当に死にたいならあと一年待ちませんか。
眠るように楽に死ぬことができる薬を差し上げます。
……ありえない。
そんなモンにだまされる人なんていない。
と思うのは、ある程度健全な人間の考えることなのかもしれない。
実際に死に取り付かれた人なら、その言葉を大事に抱いてしまうのかもしれない。

たまたま声をかけられて、その一年間の暇潰しに始めたボランティア。
これを通して彼女が変わっていく。
死んでるみたいに生きていた彼女が、生きている期限を決めてからの1年が近づくにつれ、どんどん生き生きとしていく。
考え方や行動、言葉遣いまで変わっていくその様子は読んでいてとても気持ちいい。
そしてエンディングもいい。

死ぬことに囚われて、自殺をすることを生きがいに1年間取り合えず生きてみる。
その間に、結局死に向かうことを選んだ人と、「いつでも死ねる」という支えの小瓶を引き出しに納めて、前に進むことを選んだ人と。
なんだか切ない対比なんだろうけど、どっちもサバサバとした雰囲気で。

内容(「BOOK」データベースより)
誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。
死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。
「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」
それは決して悪い取り引きではないように思われた―。
新境地を開いた驚愕のミステリー。

登録情報
単行本: 332ページ
出版社: 講談社 (2008/10/30)
ISBN-10: 4062151308
ISBN-13: 978-4062151306
発売日: 2008/10/30

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| 本多 孝好 | 12:31 | comments(2) | trackbacks(2) |
Fine days―恋愛小説
Fine days―恋愛小説
Fine days―恋愛小説
本多 孝好h

あぁ。これって恋愛小説だったのね。
すっかり読み終わって、改めて眺めたときにサブタイトルに気づいた。
サラリとした短編が4作。
どれもちょっとオカルト入ってます。
っていうかノスタルジックというか、ファンタジーというか。
全体的に硝子細工みたいな感じでキレイな印象の短編集。

「Fine days」
たたりって……。
人を呪い殺す恐ろしい噂を持つ女子高生のお話。
っていうと、オカルトっていうかホラーみたいだけど。
なんか高校生のヘンな潔癖さとか、ヘンな優しさとか。
そういう匂いを感じる。

「イエスタデイズ」
え〜っと。コレ結構好きかも。
絶縁状態の父親が癌で入院し、死を間近にした本人から電報で呼び出される三男。
お互いにまったく合わなくて、すっかり関係を絶っている父と息子だけど、デキのいい息子ではなくこの三男に想いを託す父。
この二人の関係がいいなぁと思ったけど、母はもっとステキ。

「眠りのための暖かな場所」
オカルトな姉を持つ大学生男子と、その先輩との話。
この姉はなんと気に入らない人を殺せちゃう。
絵に描くだけでそれが予言になる。
あぁ〜コワっ。
そんな姉に誰かを殺させないよう、彼女が誰のことも憎まないように匿うように暮らす弟。なんか切ないです。
結末がちょっとショッキングであり、そしてちょっと好き。

「シェード」
自分の大事な人が持っている過去。
彼女が以前に愛した男の存在を、見つめることができるのか、できないのか。
骨董屋さんで店のおばあさんが聞かせる、ランプシェードにまつわる昔話。
その悲しい話と、彼の今の状態とがリンクする。
なんとも美しくて切なくて、でもちょっと前向きな感じに終わってくれてうれしい。
陰っていうのは陰が作り出すものじゃなくて、光が作り出すものなのよ。

内容(「MARC」データベースより)
僕は今の君が大好きだよ。たとえ、君自身が、やがて今の君を必要としなくなっても-。表題作のほか「イエスタデイズ」「眠りのための暖かな場所」「シェード」の全4作のラブ・ストーリーを収録。

単行本: 321ページ
出版社: 祥伝社 (2003/03)
ISBN-10: 4396632223
ISBN-13: 978-4396632229
発売日: 2003/03


| 本多 孝好 | 23:17 | comments(0) | trackbacks(1) |
MISSING
ミッシング
ミッシング
本多 孝好

サラリとした綺麗な文章で書かれた短編が5つ。
印象としては深い蒼色。
どれも誰かが死ぬ。
その死は残った者に何を与えて何を奪うのか。

「眠りの海」
自殺に失敗した男が、救ってくれた少年と交わす会話。
彼が自殺しようと思ったいきさつ。
なんか本当に深くて暗い海の蒼色を想像させる。
ちょっと悲しい感じ。

「祈灯」
読み終えて、心がちょっと重くなる感じの短編。
だけど出てくる人物とこの文章の雰囲気のせいで、意外とサラリと読んでしまう。
恐ろしくつらくて悲しくてひどい仕返し。

「蝉の証」
自分が死んだ後って、誰かが思い出したりしてくれるのかな。
って、あんまり考えたことないけど……。
悪意がなくてカワイイ話に読めてしまう。
「過ちを繰り返すのは愚かな人のすることです。」
ってコトバを残して死んだ婆ちゃんのことが、切なくて。

「瑠璃」
この短編結構好きだわ。
最後はなんかおかしな感じになってしまって、ハッピーエンドではないんだけど。
っていうか、この「僕」が好きなのだ。きっと。アタシは。
そしてこの瑠璃も好き。
彼女が壊れていく感じって、なんとなくわかるような気がする。

「彼の棲む場所」
これも割と好き。
大学教授でありマスメディアでも活躍中のいわゆる社会で認められている男。
彼が、本当にしがない日常を送る同級生だった男に会いたいと所望。
その目的は、自分の中にある悪を告白するという、なんともアリガチで胡散臭い小説。
なんかちょっとオカルトっぽく読んでしまった。
サイトウ君なんて、本当は卒業アルバムにも載ってないんだろうなって。
そしてこの「僕」も結構アタシ好きなのだ。

内容(「MARC」データベースより)
繊細な視線で描かれた物語が、心の奥底に潜むミステリアスな風景を呼び覚ます…。小説推理新人賞受賞作「眠りの海」ほか「祈灯」「蝉の証」など、4作品を収録した処女短編集。


単行本: 297ページ
出版社: 双葉社 (1999/06)
ISBN-10: 4575233757
ISBN-13: 978-4575233759


| 本多 孝好 | 23:28 | comments(0) | trackbacks(0) |
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
本多 孝好

side-Aは主人公が恋愛に対してちょっと前向きな気持ちをもったところで終わった。
そして職場では、会社の先行きや人間関係にゆがみが出てきていた。
また彼は、その職場で知り合った実業家に少し気に入られていた。
その後、どう転ぶのか……と楽しみに続きのside-Bを読んでみた。

2年後って設定だし、主人公の「僕」も大人になっている。
けど、どこか世の中を舐めたような……っていうかさめたようなところは変わってなくて。

以前勤めていた会社を辞め、にわか青年実業家風の生活をしている。
それは例の野毛さんに引っ張られてはじめた仕事。
砂漠で毛布を売る商売……とはうまい表現だな。
そう。モノの価値なんてわかんない。
価値がないもの、必要のないものを供給するには…という彼の発想が気に入ったようだ。

この本、冒頭はショッキングな事実から始まる。
ようやく彼の恋愛に対するゆがみが取れそうかと思わせた「かすみちゃん」との付き合い。
それなのに、なんとかすみちゃんまで事故死。
2度も付き合っている女に死なれる男ってのもまぁ珍しい。

そして生き残った双子の片割れのゆかりちゃん。
彼女の言動に、読んでいるアタシまで惑わされてしまう。
本当はどっちなの??って。

そして結末は、これまたショッキング。
そんなことってあるんかなぁっていう感じ。
アタシには同じ遺伝子を持つ人間が近くにいないので、やっぱりわからない。
最後はなんともいえない終わり方だけど、彼のこの先に幸アレと願ってしまう。

内容(「BOOK」データベースより)
「砂漠で毛布を売らないか」IT企業の社長・野毛さんに誘われるまま会社を移った僕は、バイトと二人きりの職場で新しく働き始める。
仕事は、客入りの悪い飲食店を生まれ変わらせること。
単なる偶然か実力か、僕の仕事はすぐに軌道に乗り、業界では隠れた有名人となる。
ある日、本当に久しぶりに尾崎さんから電話が入った。
もう二度と会うまいと決めていたのに―。
再会した尾崎さんは、「頼みがあるんだ」と、信じられない話を切りだした。

単行本: 171ページ
出版社: 新潮社 (2004/10/29)
ISBN-10: 4104716022
ISBN-13: 978-4104716029


| 本多 孝好 | 11:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A
本多 孝好

なんか水みたいにサラサラと読みやすい。
私はこの「僕」のことが好きになるに違いないと思った。
ぜんぜん強気じゃなくていい加減に世の中に流されるように生きていて、でも……的な男はどうしても肩入れしちゃう。

学生時代に恋人を交通事故で亡くした男。
彼は時計をいつも5分遅らせている。それはその彼女がいつもしていたこと。
特に考えるでもなく、彼女のことを思い偲んでというわけでもなく、ただそうしている。
彼は彼女を亡くして、悲しむことができなかった。
そしてそのまま時が過ぎ、普通の社会人として生きている。
が、その5分のズレの分ぐらい、彼は社会から少しずれているように思われている。

そんな彼の職場の上司とか同僚との関係。
このあたりの描写って結構好きだな。
彼の立ち居地というか、価値観というか、そういうのが見られる気がして。
そしてそんな彼がふとしたことから知り合った双子の姉妹のうちの一人。
かすみという彼女と、少しずつ親しくなっていく彼。
そして最後には、いつも5分遅らせている時計を、元に戻そうと思う彼。

なんていうのかな。近しい人の死っていうのは、ちょっと何かを壊してしまう。
そのときに悲しむことができなかった分、なんかの影みたいにそれはついてきているのかもしれない。
これ、続きがあるみたいなので、さっそく読んでみよう。
なんだかよくわからないけど、野毛サンって人との関係がこの先どうなるのかなぁ?ってちょっと気になった。
そして、かすみサンとはこの先どんなふうに進んでいくのかも。

出版社/著者からの内容紹介
小さな広告代理店に勤める僕は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で失い、以来きちんとした恋愛が出来ないでいる。
死んだ彼女は、常に時計を五分遅らせる癖があり、それに慣れていた僕は、今もなんとなく五分遅れの時計を使っていた。
最近別れた彼女から、「あなたは五分ぶん狂っている」と言われたように、僕は社会や他人と、少しだけずれて生きているようだ。
そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。「かすみ」と「ゆかり」は、子供の頃、親を騙すためによく入れ替わって遊んでいた。しかし、それを続けるうち、互いに互いの区別がつかなくなってしまったという。
かすみは、双子であるが故の悩みと失恋の痛手を抱えてていることを、僕に打ち明ける。
そんな「かすみ」を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋めあうように、僕とかすみは次第に親密になっていく――。

内容(「BOOK」データベースより)
小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。
その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。
そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。
かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく―。

単行本: 205ページ
出版社: 新潮社 (2004/10/29)
ISBN-10: 4104716014
ISBN-13: 978-4104716012


| 本多 孝好 | 10:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
MOMENT
MOMENT
MOMENT
本多 孝好

これはなかなか……なんていうのかな。ちょっとカッコいい。
違うかもしれないんだけど、なんとなく村上サン風?
サラリとさめたような感じの男が、そんな雰囲気。

病院で掃除のバイトをする男が主人公。
この病院では死が近い患者の間にだけ、必殺仕事人の噂が流れる。
あれれ?これってあれじゃん。ホラ、あのマンガの。
というところでアタシの思考は中断してしまい、約半日悩んだ。
そしてようやく思い出した。プッチーニだ。

なんかすごく冷めた風でいて、実はあったかいこの灰色の仕事人。
彼の仕事はなんともまぁ、優しい感じがするんだな。
そして彼が話す、つめたげなコトバも実はアタシの好きな雰囲気。
ひとつの仕事ごとに章立てされていて、どれもがありがちだけど割と素敵な話になっている。

最終章はなんとホンモノの黒い仕事人との対決。
灰色と黒の仕事人の会話がなんかイイ感じがした。
話している内容は結構ブルーなことなんだけど、それぞれの正義っていうのかな。そういうのが底に流れているようで。
とにかくまぁ、サラリと読むには最適の短編であった。
次もまたこの本多サンの本を読んでみようかと思う。



出版社/著者からの内容紹介
最期に一つだけ、患者の願いを叶えてくれる人がいる。僕が清掃のバイトをしている病院にはそんな噂があった! 一瞬の素顔に見え隠れする人それぞれの物語。気鋭の快作。このミステリは新しい!

内容(「BOOK」データベースより)
最後に一つだけ、必ず願いごとを叶えてくれる人物がいる。そんな不思議な噂が、患者たちの間で囁かれていた。アルバイト清掃員の学生が垣間見た、その病院の伝説とは…『MISSING』の新鋭が奏でる物語のシンフォニー。

単行本: 317ページ
出版社: 集英社 (2002/08)
ISBN-10: 4087746046
ISBN-13: 978-4087746044


| 本多 孝好 | 22:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
正義のミカタ―I’m a loser
正義のミカタ―I’m a loser
正義のミカタ―I’m a loser
本多 孝好

これは昨日読んだ本とは打って変わって、読後感のすごくイイ小説。
結構厚めの本だし、何日かかけて読む感じで手にとったものの、なんだか途中でやめられなくて一気読み。

高校時代に酷いイジメに遭い続けていた亮太は大学デビューを果たす。
自分を知っている人がいない新しい環境で、できるだけ目立たずに生活することを目標に彼の大学生活が始まる。
「正義の味方研究部」に入部することになった亮太は、そこでトモダチを見つけ、尊敬すべき先輩を見つけ、自分の居場所を見つける。

明るく楽しい大学生活を綴った小説家といえば、決してそうではないと思う。
もちろん彼とトモイチとの関係、先輩との関係などはそんな風ではあるけど、
この小説の底辺に流れているのは、理不尽な不公平感だ。
イジメ、リストラ、格差社会。
自分はこういう人間だから、この程度で仕方がないという諦め。
そう。この「仕方ない」が曲者だと思う。

いわゆる正義と悪っていうのは、考えれば考えるほどややこしい。
そしてこの「正義の味方研究部」が追求する正義っていうのはなんだろう?
それが悪いこととわかっていても、結局は誰もが何も言えず何もできずにいること。
騒いだところで何にもならないこととか世の中にはいっぱいあって、仕方なく悪い人がのうのうと生きているっていう状況を諦めている。
そういうのって違うって思いつつも、やっぱり「仕方ない」って思ったりして。
それを正面から「違うだろっ!」と突きつけるのがこの研究部のやり方。
すっごくカッコいい。
めちゃくちゃ正しい。
だけど……。

亮太はこの部の趣旨に賛同し、そうしてきた先輩たちを素直に尊敬する。
だけどそのうちに、社会の矛盾というか、そのどうしようもない不公平さを感じることにより、疑問を持つようになる。
うまく書けないけど、亮太の気持ちはわかるんだな。なんとなくだけど。

この本のタイトルは「正義のミカタ」。
これは最初、普通に「正義の味方」なんだろうと思ってたけど、後半になって気づいた。
「正義の見方」でもあるんだろうなって。
いろんな形の正義があるはず。そして自分のモノサシの正義を持つことは正しい。っていうかそうでなくちゃならない。
だけど、それは決して振りかざすべきものではないのかもしれない。

この小説を読んで「正義」ってもののことを考えた。
というか、これ読んだら誰でも考えるんだろうけど。
アタシの正義ってなんなんだろう?
決して正しいことだけをやってきたわけじゃないアタシにだって正義はあるんだろう。
そのモノサシはなんだろう。それを誰かに押し付けちゃってたりはしないだろうか。

読みながら、亮太とトモイチとの関係は心から安らいだし和んだ。
そして亮太と父との会話は、短いものだけどどれもちょっと胸が詰まるような気がした。
この父、とってもイイ父じゃないか。こういう父になりたいもんだなぁって。
そして間さんの言葉は、いちいち考えさせられる。言っていることは間違ってないっていうかむしろそうなんだけど、だけどなんか違うっていうか……。

この結末は嫌いな人もあるだろう。
どうせ小説なんだし、なんでカッコよく終わらないんだろうとも思ったりもするけど、アタシ的にはこれはアリ。
自分らしさっていろんなところで使われるけど、自分らしい正義のあり方とか正義の求め方っていうのもなんかカッコいいかも。

内容(「MARC」データベースより)
いじめられっ子の亮太は自分を変えようと「正義の味方研究部」に入部する。果たして亮太は変われるのか。いじめ、リストラ、格差。こんな社会で生きていかなきゃならない、将来が少し不安なあなたに贈る、書き下ろし青春小説。

単行本: 413ページ
出版社: 双葉社 (2007/05)
ISBN-10: 4575235814
ISBN-13: 978-4575235814




| 本多 孝好 | 09:18 | comments(0) | trackbacks(1) |


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