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アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……
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2012.03.08 Thursday
虹色と幸運
一人は独身で母と暮らしながらイラストレーターをしている。 一人は役者志望の年下と同棲する大学で事務をしている。 一人は子ども3人を育てながら雑貨屋を始めた。 彼女ら3人の一年の様子が描かれている。 淡々とした流れが柴崎さんらしいかんじ。 特に大きく衝突したりものすごく親しい感じだったりというのではなく、 淡々とした付き合いを淡々と描いている感じ。 だけど、どことなく共感できたりして。 結婚をしている女性ならではの複雑な思いとか 独身女性の漠然とした不安とか、 家族との関係性とか。 う〜ん。 家族ってなんだろうなぁとか思うことがたまにある。 家族だからって必ず信頼しあってたりするわけじゃない。 家族ならではのうっとうしさとかももちろんあって。 そんなことをところどころに織り交ぜながら話は進んでいき 彼女ら3人はそれぞれ自分の歩み方を探しながら進んでいく。 取り立てて何も起こらないけど、 それでも毎日いろんな些細な出来事があって、 大事なものを守ったりあきらめたり、 うれしくなったり腹を立てたりしながら生きていて、 明日もそうやって生きていくんだな〜。 アタシもそうやって、 いろんなことに気持ちを動かしながら生きていくんだな〜。 JUGEMテーマ:最近読んだ本 JUGEMテーマ:読書 2008.11.06 Thursday
星のしるし
星のしるし 柴崎 友香 ちょっとぼんやりした感じの普通の会社員。 一度は結婚をしかけて破談になり、カイシャを変わって年収3分の2に。 それでもお金に困っているわけでもないし、とりたてて悩みもない。 一応彼氏はいて、友達もいる。 なんていうのかな。ものすごく普通。 実はコレ、アタシのことなんじゃ……などと思って、自分に当てはめてもそう違和感はない感じ。 そしていつもの柴崎さんの書く関西弁。 とても気持ちがほっこりするのは、飢えているのかしら。 そして普通の女の子の普通の日常を淡々と描いている。 会社の帰りにショッピングに行って結局何も買わずに、疲れてお茶を飲んだり。 ファッション雑誌をめくったり、甘いものを食べたり、占いに凝ったり。 この普通さ加減がたまらなく好き。 「ぺらぺらですかすか」という言葉が出てくる。 ……考えてしまった。 アタシもそうかもしれない。 特に何かができるわけでもなくて、かといってすごく何かに困っているわけでもなく。 そしてとりたてて何かをしたいという意欲もなく。 あぁ。ペラペラですかすかのアタシ。 そしてこの主人公の女の子は、ある朝宇宙人の夢を見る。 宇宙人に危害を加えられるわけじゃなくても、その気配を感じるだけでものすごく怖いという夢。 なんだろうな?日常のすごく漠然とした不安な感じが、宇宙人という形で表されてるのかな? その夢を見て、彼女の中の何かがストンと変わる感じ? 具体的に何がどう変わったのか、果たして変わるのか。 そういうのは分からないけど、何かが変わった感じっていうのを感じる。 アタシにとって柴崎さんの小説の印象は、ほんわかとダラダラと、文章になった会話を楽しみながら読む感じの本かな。 商品の内容 UFO、占い、家族…。 30歳を目前にした会社員・果絵とその恋人、友人らとをつなぐ、いくつもの見えないしるし。 日々の静かなやりとりの中で、いいあらわせない大切なものが輝き始める−。 商品の詳細 単行本: 165ページ 出版社: 文藝春秋 (2008/10) ISBN-10: 4163274804 ISBN-13: 978-4163274805 発売日: 2008/10 JUGEMテーマ:読書 2008.05.13 Tuesday
主題歌
主題歌 柴崎 友香 まったくもって他愛ない話だが、おそろしく気持ちがゆるりと解けるような感じ。 普通の会社に勤める二十代の女の子の普通の毎日。 大きなことが起きるでも、切なくてたまらない恋愛をしているわけでもない。 毎日会社に通い、同僚の女の子と話をしてランチをしてお酒を飲みにいって。 そんな変哲もない日常を彩る街の景色が、なんか絵とか写真のように目に浮かぶよう。 お店でもテレビでも雑誌でもなんでも、そこでカワイイ女の子を見つけるとうれしくなる。 そして同じような女子好きな女友達と、顔がかわいいだのムチっとした腕がかわいいだの言い合う。 それが楽しくて仕方がないとい女子の話。 一見なんだそりゃ?って感じだけど。 ……でもこれって、なんか分かるわぁ〜。 関西弁のセリフがそうさせるのか、この小説全体の雰囲気がそうさせるのか。 どうしても柴崎サンの小説を読むと、ものすごく懐かしいような切ないような暖かいような気分になる。 こう見えてアタシ、割と世渡りは下手ではなく、周りの人たちとも適当にそれなりに巧く付き合っている。つもり。 だけど、この小説にあるような毎日とはちょっと違うなぁ。 日々顔を付き合わせる女の子たちとは適当な距離を取るようになって久しい。 なんだろう〜。会社の雰囲気なのか、県民性なのか、アタシの変な思い込みなのか。 集まると誰かの噂話とか誰かの悪口とか何かの文句とか……。 なんやろな。余裕がないのかしら? そうじゃなくって、もっと馬鹿馬鹿しくて平和な話がいいよね。 っていうことで、この人の小説を読むと、いつも昔のことをいろいろと思い出してしまう。 特にこんなぼんやりとしたガールズトークっぽい小説なんか読むと。 まぁアタシ、女子高みたいなガッコに通ってたからねぇ。 あれはあれで全然女の子らしいことはないんだけど、無防備でのんきで楽しい日々。 ああいう雰囲気がとっても懐かしいなぁ。 それから前の会社に勤めていたころのこととか。 女子更衣室では、そりゃお局様と呼ばれるような人もいて、理不尽なしきたりとかもあったにはあったけど。 それでも仲良しの同僚とは、毎日毎日顔を突き合わせながら、何がそんなに楽しかったのかは覚えてないけど、それでも毎日楽しかったな〜。 何をするでもなく、別にすごく盛り上がるでもなく、淡々と片隅でおやつ食べながらコーヒー飲んでたりとか。 どうでもいい何かを見て、キレイだとかカワイイとか思ったとかいうようなことをボソリと話したりとか。 どうでもいいことを、とてもうれしく思ったとか、無意味に面白いと思ったとかいって、ゲラゲラ笑ったりとか。 で、お酒のみに行ってバカみたいに笑ったり、誰かが失恋して一緒に泣いてみたりとか。 そうやって昔は良かった的に思うのって、実は好きじゃないんだけど、たまにはいいよね。 そんな気分になりたいときは、柴崎サンに限ります。 出版社 / 著者からの内容紹介 この歌がここで歌われたことは消えてしまわない 聞こえてくる人の声、街の音 そして、誰かの心に響く歌がある 「女子好き」な女性たちのみずみずしい日常の物語 第137回芥川賞候補作(「主題歌」) 「愛ちゃんて、かわいいな。こないだの子とはえらい違いやわ」 「誰でもかわいいやなあ、小田ちゃんは」 「誰でもやないよ。いろんなかわいいがあるやん」 ただ、かわいい女の子やきれいな女優を見ていると、それだけで幸せな気持ちになるし、そのことについて話すのが楽しい。 同時収録:「六十の半分」「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」 単行本: 189ページ 出版社: 講談社 (2008/3/4) ISBN-10: 4062142155 ISBN-13: 978-4062142151 発売日: 2008/3/4 JUGEMテーマ:読書 2007.09.22 Saturday
いつか、僕らの途中で
いつか、僕らの途中で 柴崎 友香,田雜 芳一 絵本みたいな綺麗な本。 デッサンみたいな雰囲気のあるイラストが文にピッタリ。 離れて暮らす相手へ書く手紙。 その文面がふんわりとしたタッチのイラストとともに書かれている。 それだけのものなのに、ちょっと心があったかくなる気がする。 イラストを見てみると、どうやら電話もしているらしい二人。 それでも郵便ポストに手紙を入れる。 手紙ってちょっとだけ特別な感じがするよね。 電話ともメールとも全然違う感じ。 たまには大事な誰かに手紙でも書いてみようかと思わせるような一冊。 内容(「MARC」データベースより) 「こんにちは、お元気ですか? そちらは、桜はどうですか?」 書いた手紙がまだ届いていない、空白の、でも幸せな時間に、相手が普通に暮らしている。 京都と山梨、遠く離れて暮らすふたりの「往復書簡」ストーリー。 単行本: 100ページ 出版社: ポプラ社 (2006/02) ISBN-10: 459109149X ISBN-13: 978-4591091494 2007.08.29 Wednesday
フルタイムライフ
フルタイムライフ 柴崎 友香 いつ読んでも柴崎さんの文章は、っていうか出てくる会話は、アタシをとても懐かしい気分にさせてくれる。 この小説もそう。 普通の女の子の普通の日常を淡々となぞってるだけのもの。 だからこそ、なおさら、普通の人であるアタシがこんなに懐かしい気分になるんだろうな。 4月に新入社員として会社勤めを始めた女性が主人公。 彼女が春に入社してから冬までの毎月を切り取ったようなオハナシ。 会社というものに慣れなかったり、そこでの人間関係を考えたり、そして学生時代の友達にあったり、好きな人ができたり。 本当に普通のことが、普通に書かれていて、ちょっと笑っちゃうぐらい。 会社に勤めるっていうのを、すごく意識してる人って少ないと思う。 彼女のように、特に執着するわけでもないけど、なんとなく違うっていう気もするし、だけどやっぱり辞めようってほどのこともないし……みたいな。 そうですそうです。そうなんです。って思いながら読んでいた。 会社の中って、やっぱり中にいる人じゃないとわからないからね。 仕事初めの日に会社でお酒飲むのは普通? 事務所にずっとBGMが流れてるのは? 事務所でテレビがついているのは? そういうのって、なんか面白いよね。 アタシもたまにそういうこと考えちゃったりして、ほかの会社の友達と話して大笑いしたりビックリしたり。 というようなことで、ホントにここに書かれていることは普通のことで、ちっとも気を張ることもなく身近な感じで読むことができる。 そしてさらに、あっという間に読んでしまうことができる。 ただやっぱりあまりにも何も起こらなさすぎて、物足りない感じもする。 出版社 / 著者からの内容紹介 「きょうのできごと」で一躍注目、期待の女性作家の最新長編小説。大学生やフリーターたちの漂うような感覚をリアルに描いてきた著者が、自身のOL体験をもとに初めて舞台をオフィスに移し、新社会人・春子の揺れ動く10ヶ月を繊細に描く。 内容(「BOOK」データベースより) 喜多川春子22歳。美術系の大学を卒業し、思いがけず包装機器会社の事務職についた―。『きょうのできごと』の著者が四季を通して、細やかに綴った新入社員の10ヶ月。 単行本: 220ページ 出版社: マガジンハウス (2005/4/14) ISBN-10: 4838715757 ISBN-13: 978-4838715756 2007.05.16 Wednesday
青空感傷ツアー
青空感傷ツアー 柴崎 友香 ちょっと地味な雰囲気のする女の子と、強烈キャラの友達、音生とが旅をするという小説。 もうこの音生の個性がものすごい。 容姿は誰もが認めるかわいらしさ。 そんな彼女は恐ろしく身勝手で暴言、暴力女なのだ。 その強烈な音生に振り回される主人公とその他の登場人物。 なんだかもうこの振り回され方に腹が立ったりするんだけど、どことなく憎めないというコっているよねぇ。 そんな音生に読んでるアタシも振り回される感じ。 そして主人公のウダウダしたところとかちょっと僻みっぽかったりとか、あと反省しつつそのままのようなところとかが、ヒトゴトとは思えない。 そしてこの小説のそこらじゅうに、やっぱりいつもの柴崎さんの雰囲気が満載。 この雰囲気とテンポ大好きなんだけど、この小説はちょっと微妙かな。 なにもない日常、不毛ともいえるような会話を繰り返すようなあの感じがいいんだけど、 ちょっとダラダラが長すぎるせいかしら。 いったいいつまで感傷旅行続けるんだアンタらって感じがしたりして。 出版社/著者からの内容紹介 美人で高慢で愛すべき女ともだちと、彼女に言いなりな私。女二人の感傷旅行の行方は?保坂和志氏が「この作者こそ、本当の意味で、人間やこの世界を、信じて、肯定している」と絶賛。映画「きょうのできごと」原作者の傑作! 単行本: 160ページ 出版社: 河出書房新社 (2004/3/11) ISBN-10: 4309016227 ISBN-13: 978-4309016221 2007.05.13 Sunday
ショート・カット
ショートカット 柴崎 友香 少しずつつながった人たちが出てくる4つの短編。 どれもが相手との距離についてのもので、どれもがしッくるくる感じ。 柴崎さんならではの、あのテンポと会話。 ものすごく気持ちが落ち着く感じがする。 居酒屋だったり海だったりいろんな場面が出てくるが、どれもがなんか自分に投影できる。 っていうか、昔そういうトコいったな〜とか、そんなことしたな〜とか、そういえばそんな会話してたなぁ〜とか。 つまり、基本的にアタシはこの人の文章が好きなんだわ。 そして相変わらずこの人の小説には、変わったできごとはあんまり起こらない。 なんとなく普通に過ぎていく日常なのだ。 そしてそんな日常でふと交わす会話なのだ。 また会話にせずに心の中で思っていることたちなのだ。 そんなめちゃくちゃ日常的なものの中で、人はいいこと言ったり、うれしくなったり、悲しくなったりするもんなのだ。 っていうことで、いろんな場面で登場人物たちがとるいろんな動きに、そしていろんな言葉に共感を覚える。 遠距離恋愛だったり、近所に住んでる人だったり、始めてあった何度もしゃべっている人だったり。 人との距離って意外と難しい。 そして、ふとしたことでソレを超えられたり、ソレが壁になったり。 あぁ、もう。なんかリアルな感じよね〜。 内容(「BOOK」データベースより) 映画『きょうのできごと』の原作者が贈る感動の一冊!人を思う気持ちはいつだって“距離”を超える。 内容(「MARC」データベースより) 遠くにいる人を好きなのはとてもつらい。でも、離れた場所や時間でも、会いたいと思えば会える-。「きょうのできごと」で話題の著者が、遠く離れて恋する男女のせつない思いを描く。 単行本: 170ページ 出版社: 河出書房新社 (2004/4/17) ISBN-10: 4309016332 ISBN-13: 978-4309016337 2007.04.08 Sunday
次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?
次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? 柴崎 友香 あららぁ〜。やってしまった。 表題作を読み始めたときに、きょうのできごとと同じ感じの色目の小説だな。 と思っていたんだが……。 どうにもこの話、知ってる気がして仕方がなかったんだけど、小豆ほうとうのあたりで確信してしまった。 そうそう。絶対にコレ、以前に読んでいるんだわ。 で、なんかの雑誌とかアンソロジーみたいなんにたまたま入ってるのを読んだんだろうなぁと思ったところで、少し落ち着いた。 恐ろしくわがままで、でも「そういうヒト」って感じで周りが見てしまうようなヤツ。 こういうヤツってあこがれてしまう。 自分にないもの持ってるんだから。 そしてやっぱりこのヒトの書く小説の、この空気感がたまらなく好きだわ。 だけど、次の「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」も読んでガクゼンとした。 ……これも知ってる。確実に知ってる。 こっちのほうは、最初の数行で気づいてしまった。 そして収録されている2作品とも読んでいるってことはやっぱり、この本をそのままズバリ読んでいるんだなぁ。 しかも結構好きな感じの本なのに、まったく覚えてなかったなんて。 自分の記憶力が恐ろしい。恐れている若年性のアルツハイマーか。 自分の脳ミソを疑うことに力点が置かれて、今日はまともな感想を書いてないが……。 こっちもキライじゃないのよね。 ただただ寝る。 嫌なことから逃避するように寝る。 その状態から抜け出そうと心に決めてもさらに寝る。 だけど少しずつ立ち直っていく。 寝なくても大丈夫になっていくんだろうな。 内容(「BOOK」データベースより) どこかよく分からない場所で、何時かよくわからない真夜中に、ぼくは何度目かの失恋をした。大阪発東京、カップル+男2人。4人それぞれの思いを乗せたドライブ旅行のゆくえは。 内容 大阪発東京行。友人カップルのドライブに男2人がむりやり便乗。4人それぞれの思いを乗せたドライブ旅行の行方は? せつなく、はがゆいロード・ラブ・ストーリー。ほかに「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」を収録。 単行本: 156ページ 出版社: 河出書房新社 (2001/02) ISBN-10: 430901402X ISBN-13: 978-4309014029 2007.02.18 Sunday
また会う日まで
また会う日まで 柴崎 友香 アタシはこの人が書く小説のにおいっていうか雰囲気っていうか、そういうのが好き。 特に大それたことが起きるわけでもなく、日々の小さなことを何気なく描く感じが。 っていうことで、なんだか多忙を極めてて、ホッと一息つきたいということでこの本を読むことにした。 この作品は、駅のシーンから始まる。 もちろん大阪市営地下鉄のことかと思ってたら、なんと東京メトロ。 あらら。今回は大阪弁じゃないんだわぁ〜って思ったら、肩透かしだった。 そしてやっぱりこのユルい雰囲気。 そして主人公の女の子がしゃべるぼんやりとした大阪弁。 あぁ。癒される〜。 シチュエーションもなさそうで意外とアリガチ。 そのせいでとっても身近な感じで読み進むことができる。 あっという間に読んでしまえる小説なので、ほのぼのとした時間はすぐに終わってしまうけど、まぁそうしたモンでしょ。 なんやよーわからんわ。 って感じの流れで、だけどそういうのって日常にやたらと多いということに気づく。 そしてその、なんやよーわからん状態がほんのちょっと変わって、でもそれは小さなことで、この小説でもそれでナニがどうなるってわけじゃなくて。 こうやって書くと、そんなことをわざわざ小説にして、それを数時間かけて読んでどーすんのさ?とツッコミたくもなるけど。 そしてこうやって書くと、まるで好きじゃないみたいだけど。 でもやっぱりアタシはこの人の本、好きよ。 出版社 / 著者からの内容紹介 好きなのに今は会えない人がいる……有麻は25歳OL。高校時代、修学旅行2日目の夜。同級生とのある記憶を確かめるため、約束もなしに上京。6日間の東京滞在で、有麻は会いたい人に会えるのか? とびきりの恋愛小説! 単行本: 172ページ 出版社: 河出書房新社 (2007/01) ISBN-13: 978-4309018010 ASIN: 4309018017 2007.01.16 Tuesday
きょうのできごと
きょうのできごと 柴崎 友香 これもまた、平和で幸せな小説だなぁ。 二十代前半ごろかな?あのころの雰囲気を思い出す。 しゃべり方ももちろんなんだけど、あのぽわんとした、かつちょっとガッついたような考え方もビンゴ。 なんでもないことが書かれているだけなのに、とっても心があったかくなるような。 「きょう」という一日のうちの一時を一緒に過ごした男女。 章ごとに、それぞれの目線での話が展開する。 中沢とその彼女、そして中沢の幼馴染でありその彼女の友達でもある「けいと」。 3人が、中沢の友達の引っ越し祝いに京都まで出かけ、その友達の家には後輩や友達3人がいて、総勢7人で宴を催す。 京都からの帰り道、すっかり寝入った彼女と幼馴染を乗せて車を運転する中沢。 そしてふと目を覚ました幼馴染との会話。 真夜中にポツポツと交わす会話が、なんかぜんぜん具体的にそんな場面があったというのではないくせに、なんとなく自分の懐かしい思い出と重なるようで。 イチバン面白かったのは「かわたくん」の章。 この日の昼間に彼女と動物園に行って喧嘩をしている場面なんだけど。 なんだかヒステリー女みたいになってしまっている彼女だけど、彼女のいわんとしていることはわからなくもない。 っていうか、むしろ分かるよねぇ〜。っていう気がする。 だけど「かわたくん」の言動は至極まっとうなものだし。 こういう喧嘩って今思うとカワイイな。 イチバン笑ってしまったのは白熊のクダリ。 その様子を想像しながら、「かわたくん」の会話のテンポを頭の中で聞いてみると、どうにもハマってしまった。 現実にちょっと疲れたときとか、こういう小説ってイイよね。 覚えておこう。 内容ドライブ、デート、友達とのおしゃべり。20代の普通の若者の普通の一日が、5人の男女によって語られる。短い会話の積み重ねが、普通の日を特別な日に変える小さなできごとたちを優しく描いていく。 単行本: 139ページ 出版社: 河出書房新社 (2000/01) ISBN-13: 978-4309013282 ASIN: 4309013287 |
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