アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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ストロベリーライフ
評価:
荻原 浩
毎日新聞出版
¥ 1,728
(2016-09-23)

明るい気分になりたくて、荻原サン。

 

東京で自らデザイン事務所を構えているものの、仕事はほとんど入ってこない中、妻と息子と慎ましく暮らしている主人公。

父親の急病の知らせを受けて地元に帰ると、家業の農業が彼を待っていた。

富士山のふもとの田舎町で、仕方なく母を手伝いながら農作業をするうちに、夢が膨らんでくる。

イチゴ農家というその夢と、東京で待つ妻と息子。

 

内容自体は前向きだし、面白いし、なんといっても読みやすい。

ただ、なんとなく、農業のことすごく勉強したんだろうなって思うような、なんていうかちょっと説明っぽい感じが否めない。

気軽に読みやすいっていうのが作者のウリなのにな〜。

 

そして内容も前向きですごくいいし、読みながら応援したくなる。

けど、ちょっとあまりにも都合良過ぎる感じがして。

最初から取引先が何箇所もできたり、客が来たりする?

 

農家さんっていうのはつくづく大変なんだと思う。

天気とかイキモノとか、自分でどうにもならないモン相手にしてるし。

そのうえ地域とか仲間意識とか高くて、それは逆にヨソモノを良しとしない風土にもなってる。

実際この小説、楽しく読みながらも、いろいろなことが気にかかって仕方がない。

 

もちろんハッピーエンド。

独自ルートでのイチゴの取引(しかもネット、産直スーパー、地域の飲食店とバラけてて、そのうえ海外にまで!)が始まり、観光農園も上手くいき、懸案だった妻と息子との暮らしも戻り。

そしてイチゴ農園の夢はさらに広がり……。

あまりにもハッピーすぎる終わり方に、楽しく読んでた気持ちが最後になって醒めてしまった感じかな〜。

 

 

 

 

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| 荻原 浩 | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
家族写真
評価:
荻原 浩
講談社
¥ 1,470
(2013-05-30)

日曜の夕方はサザエさん。
あの波平さんと同じ年だと知ったお父さんの驚愕。
……という書き出しについ笑ってしまった。

中年を過ぎたお父さんやお母さん。
そして子供たち。
そんな普通の、当たり前の家族が描かれている。

ほのぼの。あったか。
軽くて読みやすくて、でもどこかちょっとしんみりしたりして。
優しい小節です。

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| 荻原 浩 | 22:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
花のさくら通り
評価:
荻原 浩
集英社
¥ 1,680
(2012-06-26)

アタシのお気に入りの荻原さんらいし一冊。
というか、あの小鳩組、オロロ畑のユニバーサル広告社シリーズだ。

不景気から都内から事務所移転をすることになったユニバーサル広告社。
移転先は、シャッター通りといえなくもない商店街の一角。
よそ者である彼らが、商店街に燻るあれこれを見聞きし、
ついには商店街の活性化の手伝いをすることに。

一銭の儲けにもならない商店街のあれこれに取り組む彼らの様子は
本当に単純にほほえましいしうらやましい。

そしてところどころに光る、広告社ならではのプレゼンの極意や取引の極意。
はたまた社長によるテキ屋商売の極意などなど。
意外と参考にしたくなるようなこともチラリと出てきたりして。

古い商店街に連綿と残る歴史という名のタンコブ。
もちろん歴史はそれなりの意味があるだろうし、大事にすべきこともいっぱいあるだろうけど、
それに縛られ、またそれを笠に自らの利益に走る輩もいたりして。
そしてそれに気づきながらも、なかなか対抗できずに、なんとなくそれに巻かれている人たちもいる。
そんな中、ヨソ者だからこそなし得るやり方で、商店街を一つにまとめていく。

夢物語だろうし、都合が良すぎるかもしれない。
それでもやっぱりこういう小説を読むと、思わすニッコリしてしまう。
これこれ。こういうの。読みたいのは。

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| 荻原 浩 | 23:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
幸せになる百通りの方法
久しぶりの荻原さん。
この作者の小説は大好き。
あったかくてやさしくて。

この「幸せになる百通りの方法」は
七編からなる短編集。
サラリととっても読みやすい一冊。
性別も年代も違う人たちがそれぞれ主人公。
誰もが幸せになりたいと願っている。
どれもちょっとほっこりするような暖かいお話。
そして、幸せの定義は人それぞれだって感じるもの。

『ベンチマン』が印象に残ったかな。
会社をリストラされたお父さんが主人公。
家族にそれを言い出せなくて、毎日出勤する。
行き先は公園のベンチ。

この人が描く小説は、最後のオチがあったかくていい。
アタシももちろん幸せになりたいと願っている。
幸せってなんだろな。

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| 荻原 浩 | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
誰にも書ける一冊の本
本を開くなり、なぜか大き目の活字が気になる。
これはなぜ?

東京で小さな広告会社を営みながら細々と小説を書いている男。
父の病状悪化の知らせを受けて地元の北海道に戻る。
病室で彼を待っていたのは、機械につながれた父の姿と一束の原稿用紙。

それは父が書いた自伝だった。
淡々と生きていた無口な父。
ドラマティックなエピソードなんて聞いたことなかった。
ところがその自伝の中の父は、彼が知っている父とは違っていた。
子どものころに熊と戦ったエピソードや
戦争に出向いた血気盛んな父の姿。
その後職場の中で仲間とともに戦う姿。

読みながら彼は、その原稿用紙に書かれた話を
自伝ではなく、自分を下敷きに描いたフィクションだと思った。
父が書いた文章を読みながら、あるときは息子として父に思いをはせ
あるときは同じモノ書きとして厳しい目で見る。

そんなことを繰り返しているうちに、父が息を引きとった。
その後、争議の手配をして通夜が行われ、その間も彼は父の文章を読み続ける。
そして気づく。
もしやこれはやっぱり自伝なのではないか。

父と息子という関係、そして明治生まれの男。
そんなことを思うと、父が自分について多くを語らなかったことも珍しくはない。
なんせ息子である彼も、自分の子どもに多くを語ってはいない。
世代の間ですべてのことは繰り返されていく。
そんなことを強く感じた。

そして葬儀の日。
大雪が降って移動に厳しい朝となった。
そんな中、自宅から外を見ると
初めて会う人たちが父を見送るためにその家に向かって歩いてくる。
初めて会うのに知っている人たち。
父が書いた自伝の中に出てきたあの人やこの人。

荻原さんの作品にしては淡々と読んだな〜と思いながら迎えた終盤。
やっぱりここでホロリと泣かせてくれるんだなぁ。
さすが荻原さん。
やっぱりアタシ、この作家さん好きだな。


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| 荻原 浩 | 09:19 | comments(0) | trackbacks(1) |
月の上の観覧車
評価:
荻原 浩
新潮社
¥ 1,575
(2011-05)

久しぶりの荻原さんの新作は8つの短編集。
荻原さんの小説は好き。
この短編集は、まったく別のお話が並んでいるんだけど、
どれもなんとなくトーンが似ているように思う。

ほのぼのした雰囲気とか、切ない雰囲気とかは好きなんだけど。
悪くはないんだけど、なんかパッとしないというか。
これは読み手のアタシの感性が変わったのか、
荻原さんの作風が落ち着いたのか。


書籍紹介:
守れるはずもないことを、いくつ約束したのだろう。
逃げ出した故郷、家族に押しつけた身勝手な夢。
いつだってその残酷さに、気付かぬわけでは決してなかったー。
月光の差し込む観覧車の中で、愛する人々と束の間の再会を遂げる男を描いた表題作ほか、繰り返せない時間の哀歓を描く著者最高の傑作短篇集。



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| 荻原 浩 | 12:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
砂の王国(下)
評価:
荻原 浩
講談社
---
(2010-11-16)

下巻のほうは、上巻と比べて失速したなぁって印象。
自分の都合でコマ切れな感じに読んだせいでもあるんだろうけど。
上巻ではホームレスに転落した男の一念発起までが丁寧に描かれていた。
下巻では、彼の構想に乗って物事が動き出す。
気持ちいいほどに、多くの人を引き込み、思い通りに動いていく様子は読んでいて楽しい。
ところが自らが作り出したその虚構の中で、その制御がきかなくなっていく。
救いを商売にしてしまった男が救いを求める先はどこなのか。

宗教団体って、実際のところはどうなのか分からないんだけど、多かれ少なかれこの小説で描かれている人間模様ってあるに違いない。
宗教団体に限らず、人間が複数集まると、そこには必ずあることなんだろう。
ある者にインセンティブを与え、それを見せ付けることで競争心を煽るようなやり方だとか。
初めはほんの思いつき。
ところがどんどんと宗教にのめり込んでいく人間の様子って、こうして物語でみてみるとよく分かるなぁ。


ただ、下巻の終盤はもう、なんかやっつけみたいに読めてしまった。
アタシの読み方がそうだったのかもしれないけど。
確かに、こういうふうに団体の制御体制が崩れていくのって、あるとき突然なんだろう。
それにしてもなんか、なし崩し的にダダっと書き終えちゃいましたって感じがしてしまって。
荻原サンの一ファンとしては、ちょっと残念な気がしました。

自らが作り上げた城は、大きくなりすぎてある時点でもう自分の手では制御できなくなり、とうとうその城からも追い出される。
まぁ『砂の王国』っていうのは、ベタすぎるほど内容にピッタリなタイトル。
そして、どんな状況を描いているときでも、荻原サンらしい、ちょっとユーモアを感じさせる文章。
なんだかんだ言いながら、これだけの長い小説をサラリと読ませてしまう力は流石なんじゃないのかな。


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| 荻原 浩 | 12:56 | comments(0) | trackbacks(2) |
砂の王国(上)
評価:
荻原 浩
講談社
¥ 1,785
(2010-11-16)

待ってたよ。荻原サン。
ということで、ワクワクしながら読み始めたんだが……。
なんと今回は、主人公がまぁトコトン落ちていくところから始まる。

大手の証券会社に勤めていた男が、あれよあれよという間にネカフェ難民となり、そのまま路上生活者に。
人間、落ちるところまで落ちるって、もう途中であがいても何してもどうにもならないもんなんだなぁ。
だけどそうしてどん底まで落ちてもなお、あきらめない男。
ちょっとしたことから思いついて、なにか生きる糧に結び付けようとする。

描かれているのは、本当にひどい状況なのに、なぜか荻原さんが書くと、ちょっとほのぼのしてて。
そのせいで、読んでるアタシも割と明るめの気持ちで読むことができた。
コレ、重〜〜い感じで描かれると、なんか読むほうもキツいだろうなぁ。

そして、なけなしのお金を元手にギャンブル。
一発当てて、まとまった事業資金を作る。
事業の内容は、路上生活で知り合った男たちの個性と才能を活かしたもの。
すっかり頭の中ではできあがっている。
あとは資金だけ。

ここで勝負にでなけりゃ、どうなる?
負けても元の路上生活に戻るだけ。
そんな開き直りって、強いのかもね。

そして、なんとなんと。
それを元手にはじめるビジネスは新興宗教。
へぇ〜〜。そうきましたか。

事業を始めてからはもう、トントンと軽快なテンポで話は進む。
アタシの好きな荻原サンの会社モノっぽい軽くて明るい雰囲気。
さてさて。事業はなんとなくうまく軌道に乗ってきた感じのところで上巻が終了。
この先、どうなっていくのやら。



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| 荻原 浩 | 23:58 | comments(0) | trackbacks(2) |
ひまわり事件
評価:
荻原 浩
文藝春秋
¥ 1,890
(2009-11-13)

荻原サンの新作が出てたの見過ごしてた。
やっぱり中盤から勢いづいてしまって、また寝不足。
作者らしい感じのものでした。

舞台は幼稚園と隣接する老人ホーム。
どちらも同じ地元議会議員が経営する系列施設。
シーンはこの2か所を交互に往復する。
主役はひまわり幼稚園に通う男女4人と老人ホームのジジババ。
そしてテーマは「闘い」。
闘いに立ち上がるのは、成年でも中年でもなく老人と子供たち。

最初は幼稚園の様子と老人ホームの様子が描かれるところから始まる。
この設定でどんな展開になるのか?と思いながら読み始めた。
最初の展開は、この2つの施設の間の壁を取り払って、お互いに行き来しようという話。
老人と子供とのふれあい。ありがちな話だ。
ところがお互いにとってそれはちょっとした難関。
子供にとって老人たちは妖怪そのもののように見える。
老人たちにとって子どもたちは、そんなにほほえましいものではなくただうるさいだけ。
それを無理やり交流させようとするから面倒くさい。

押しつけの交流はうまくいかなくても、ちょっとしたきっかけで仲良くなる子どもと老人。
たまたま一緒にひまわりの種を植えてから、仲良くなった子供たちはたびたび老人ホームを訪れるようになる。
危ないから缶蹴りはダメとか発表会の劇はみんな公平な役じゃないとダメとか。
くだらない制約ばかりの幼稚園を抜け出して、老人たちとテレビを見たり麻雀をしたり。
ところが今度はまた2つの施設の間に壁を作ろうとする。

そうこうしているうちに老人ホームでは入所者が問題を提起する。
施設入所の一時金の返還の問題や、一時金を返さなくてよくなったとたん追い出すようなやり方に疑問を投げかける。
一方幼稚園でも、保護者の目を気にした園長が配役を勝手に変えたり、反発した担任を外したりして子供たちを傷つける。

そこで事件が起きる。
ていうか闘いが起きる。
気に入らないことがあってもただ黙っているだけでいいのか?
そう問いかける老人。
そして不満を抱えた子供たちもそれに乗っかる。

登場人物は作者らしく、だれもが魅力的。
偏屈なおばあさんまで最後にはかわいく見えてしまうほど。
途中はとてもドタバタと騒々しいが、終わり方は実に静か。
こういう静かな闘い方もあるんだな〜。


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| 荻原 浩 | 19:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
ちょいな人々
ちょいな人々
ちょいな人々
荻原 浩

荻原サンらしい、ほんのりと優しさを感じる、ちょっと面白い人たちを描いた短編集。
どれもがクスっと笑えて、その人の言動とか、アホさ加減とかを少し愛しく思うような。
サラサラとあっという間に読めてしまうので、肩の力を抜いて読むのに最適。
中でも最初の短編、表題作でもある「ちょいな人々」が面白かったかな。
なんせ、オジサン、かわいくて。

ちょいな人々
クールビズの流れのなか、とある企業で突然導入されたカジュアルフライデー。
それまでスーツにネクタイ以外の服装を長らくしていないオジサンたちが、右往左往する様子がコミカルに描かれている。
途中でププっとひそかに何度笑ったか(笑)

ガーデンウォーズ
お隣同士の庭を守る争い。
方や盆栽や菊に果物の木。方やガーデニング。
その庭を争う二人を突然襲ったのはもっと大きな的。
とりあえず二人の間の争いは一時休止で、共通の敵にともに立ち向かう。

占い師の悪運
これはちょっとイイ話。
自分の未来に展望が見えなくて脱サラ。
占い師の道を歩み始めた30代男性。
彼が占いってものの本質に気づく。
実際にこうなれば本人には残念なラストなんだろうけど、なんかあったかくて、ステキ。

いじめ電話相談室
いじめ電話相談室に勤める女性が主人公。
赴任後間もない主人公は、当初戸惑いマニュアルどおりの対応をしていたが、少しずつ自分のやり方で子どもたちを救い始める。
それが評判になり、今度はその相談室で自分がいじめられるハメに。
コレもイイ話。優しくてあったかい勇気が出るような。

犬猫語完全翻訳機
これは笑いました。
ある玩具メーカーが新開発したオモチャ。
犬や猫の言葉を鳴き声や体温や血流などさまざまな要素で分析し、翻訳してくれるモノ。
その商品モニターの様子が描かれている。
結末は、最初から想像できるし、しかもその想像から全く外れない。
だけど言葉とか文章のせいか、これが楽しめるから不思議。

正直メール
これも、前出の玩具メーカーが、また新製品として作り出した商品。
音声認識によるメール作成ができる携帯電話。
この音声認識が優れていて、先の犬猫のシステムを再利用し、今度は人間の言葉や体の状況などを分析し、翻訳してくれる。
これが感情を優先して翻訳されると、かなりオモシロイ変換が待っている。
人間って、本当にいろんなところで本心出さずに生きてるモンだからね〜。

くたばれ、タイガース
プロポーズを受け、フィアンセから父母に結婚の申し入れをするために一席設ける。
その席は、阪神ファンの彼と、巨人ファンの父との初対面の場となった。
折りしもテレビ中継は阪神巨人戦。
結婚の話に及ばないままナイター中継は進む。
本当にホノボノしていて、うれしくなるほどの平和さ。


商品の説明
隣の庭木を憎む主婦、脱サラした占い師、いじめられっ子と一緒に復讐する相談員など、ちょっと変でちょっと可哀そうな人達のお話。
社内女性のほめ言葉に有頂天になる中年課長はじめ、おっちょこちょいだけど愛すべき人たちの破天荒なユーモアワールド。

商品の詳細
単行本: 266ページ
出版社: 文藝春秋 (2008/10)
ISBN-10: 4163275509
ISBN-13: 978-4163275505
発売日: 2008/10
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| 荻原 浩 | 12:10 | comments(0) | trackbacks(2) |


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