アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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ハケンアニメ!
評価:
辻村 深月
マガジンハウス
¥ 1,728
(2014-08-22)

タイトルをすっかり誤解したまま読み始めた。
そうそう。
ハケンを「派遣」だと思ってたから。
読み始めた途端に主人公は派遣社員でもなさそうだし…。
しかもアニメとかまったく良く分からない世界で、
アタシが読んでついていけるのかしら…なんて思ってたけど。
思いのほかオモシロかったです。

基本的にやっぱり愛って好きよね。
人に対する愛もそうだけど、今回はアニメへの愛とか、シゴトへの愛とか、
いろんな愛を大事にしながら生きている人たちの話って、好き。

アニメーションには莫大なお金と人力と時間が費やされてそれが成り立っているということを改めて感じた。
そしてそれらは、みんなが一緒になって作り上げていくもの。
そのうえこれらに携わる人たちは多かれ少なかれアニメに愛を感じているっていう設定だから、
作品作りの中でのケンカとか人間関係とかいろんな出来事が描かれているけど、
根底に流れているのは愛と自由だわね。

アタシが勘違いしていたタイトルの意は覇権。
感じにしてもなお、この覇権アニメの意味をシッカリと理解しているわけでもなく、
ただなんとなく一番人気のアニメなんかな〜などと思ってたけど、
やっぱりちゃんとした定義ってあるのね。
グッズとかDVDとかの売上げとかが大きく影響するそう。

その覇権を取るために、いろんな人たちがそれぞれが愛するアニメづくりをがんばるってハナシなんだけど、
このまたオチがいいんですわね。
どれがいい作品化なんて、どこかの誰かが決めたり数字で決めるものじゃないって。
観た人それぞれが自分の心で感じることがイチバンだって。
やっぱり愛ですな〜。

読み終えた後、なんだか少しやさしい気分になれる一冊でした。

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| 辻村 深月 | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
鍵のない夢を見る
評価:
辻村 深月
文藝春秋
---
(2012-05-16)

5つの短編が並んでいる。
連作ではないけど、一貫しているのが普通の中にある異常みたいな感じ?

出てくる人たちは普通の女性だったり、普通の主婦だったり。
彼女らがごく普通に暮らしている中で、ふと出会うちょっとした黒い感情。
こういうのって誰にでもあるんだろうし、多くの人はそれをやり過ごす。
ちょっとしたことで魔が差して、ちょっとしたことで踏み外していく人。
そういう状況を丁寧に描いている短編集。

アタシはこれ割りと好きだな。
冒頭のリツコちゃんの導入部分でそう思ってしまって、
そのまま読みきりました。
短編集って細切れに読めていいわぁ〜と思ってたのに。

誰の足元にも落とし穴はあって、
それが大きいか小さいかということがあって、
しかもそこにたまたま足を掛けるか掛けないかという運もあって……
そんな情景をなんとなく思い描いてしまう。

読後感はあまりいいもんじゃないけど、
アタシとしては「アリ」かな。コレ。

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| 辻村 深月 | 12:31 | comments(0) | trackbacks(1) |
水底フェスタ
評価:
辻村 深月
文藝春秋
¥ 1,500
(2011-08-24)

久しぶりに辻村さんの小説を読んでみたけど、
アタシが持っている作者の印象とはちょっと違う感じ。
なんとなく鬱屈とした印象が強くて、読後に爽快感はない。
イメチェン??なのかな?

田舎の小さな町のムラ意識。
良くも悪くも狭い世間。
この閉塞感はアタシよく分かる気がする。
ムラの人たちはちっとも悪気はないんだろうけど、
いたたまれないほどの居心地の悪さを感じたりして。

そんなムラに暮らす高校生の広海。
彼の父親はその小さな村の首長。
冷静で温厚で理解ある父親のことを、
息子なりにいい首長だと思っている。

そんな彼の前に突然現れる、ムラ出身の女優由貴美。
彼女にあっという間に惹かれてしまう。
そして彼女の言動から、それまで何の疑いも持たなかったものへの疑念が膨らむ。
その疑念が向かうのは、例えばムラの狭さだったり、例えば家族だったり。

そして、物語は終盤、破滅に一直線に向かう。
まぁ、最後はそこにしか行き着くところがないんだろうという絶望。
う〜ん。
分かるけどなぁ。
やっぱり読後感がいい小説が好きだな。

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| 辻村 深月 | 21:08 | comments(0) | trackbacks(1) |
ツナグ
評価:
辻村 深月
新潮社
¥ 1,575
(2010-10)

依頼者と死者とを会わせることができる。
それを生業としている「ツナグ」という人。
恐山のイタコとはちょっと違う。
まさに死者と会うことができるという。
都市伝説みたいな話。

その「ツナグ」の話を聞き、半信半疑ながらも依頼をする人たち。
好きだったアイドルや、母親、ケンカしたまま亡くなった親友、突然いなくなった婚約者。

こういう話って、なんか霊的なことがメインになってしまったり、泣かせる系だったりしがちかなぁって。
そして、かなりありがちなパターンかなぁって。
ほのぼのとあったかい、切なさと悲しさと、それから善意に満ちた話。
そんなふうに思いながら読み始めた。

それぞれ4人の依頼を受けたツナグが死者との仲介をし、依頼者と死者が会うっていう話が、それぞれ章立てになっている。
ツナグはあくまでも事務的に淡々と自分の任務をこなすだけ。
余計なことはほとんどしゃべらない。

依頼者の視線で描かれた4つの話。
優しい雰囲気いっぱいのストーリーなんだけど、中に一つ辛口のものが混ざっている。
生きている人間が死者に会うって、そんなにほのぼのしたことばっかりじゃないんだよって話が。
それも話の真ん中にポツンと。

強い悪意。
それを隠したまま、死者と会うズルさ。
平和に面会を終えて、ホッとした気持ちで帰宅しようとする。
そのときを選んで投げかけるように用意されていた死者の本心。
死者と会ったことで逆に不透明だった自分の悪を、まったくの悪だと認識して生きていかなければならなくなってしまった。
これは怖い。

ただ、この編があるだけで、この小説全体がピリッと締まった感じがする。
なんていうのかなぁ。上手さかな。

そして5章目、最後の編はツナグ視線の話。
ここでこれまでの4つの話を、別の視線から見せてくれる。
そのことで、いろんなことがガシっとつながる感じ。

善意の中に一つ入れ込んだ悪意の話と、最後のこの話とで、ものすごくバランスのいい短編連作集になってる気がする。
内容的には、そんなに意表をついたものでもないし、ありがちっていえばそうかもしれない。
それでも作者ならではの全体に漂う透明感といい、このバランスといい、好きな一冊です。

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| 辻村 深月 | 21:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ
評価:
辻村 深月
講談社
¥ 1,680
(2009-09-15)

30歳という微妙な年代の女性。
ライターとして忙しい彼女の幼馴染が失踪。
それも母親殺しと報道されている。
その幼馴染は、父とも母ともビックリするほど仲がいい。
真面目でおとなしい彼女がなぜ?

それを知るために、多くの人を訪ね歩き話を聞く。
それは合コンを繰り返していたころの友達だったり、その幼馴染の元彼氏だったり。
途中から出てくる「赤ちゃんポスト」との関係が、なんかしっくりこないな〜と思いながら読んでたんだけど。
これは終盤になって納得。
そーゆーことね。

なんていうのかな。ちょっと鬱屈とした雰囲気の小説。
家族、とりわけ母と娘の距離のとり方の微妙さとか。
そこに男性がいないときの女性同士の会話とか。
誰かを菜にかを羨むことと、蔑むこととの微妙さとか。

そうそう。
タイトルの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」。
この数字はなんだろう?なぜ数字ではなくカタカナなんだろう?
そんなことをちょっと思いながら、でも分からずに途中まで読んでいた。
もしかしたら……と思ったものの、その後もこの数字に触れられることなく話が進んでいく。
物語の最後になって、ようやくこの数字のことが出てきた。
やっぱりか……とニヤリ。

ミステリっぽいつくりにはなってるけど、これってもっとちょっと違うところに視点がある。
誰かを大事に思う気持ちの表し方ってホント人それぞれ。
とても上手にそれを表現できる人もいれば、どうしてもうまく表すことができない人もいて。
アタシもあまり上手なほうではない。
できれば大事な人には、自分の思いをうまく表すことができる人になりたいと思う。

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| 辻村 深月 | 21:24 | comments(0) | trackbacks(0) |
スロウハイツの神様<下>
上巻のラストに奮起して読み始めた下巻ですが、やっぱりなんか……。
時間軸が行ったり着たりすることがあって、ちょっと面倒臭かったりする。
などと思いながら読み進めていったんだけど、中盤以降めっきりとページをめくる速度が上がってしまって。
読み終えて上巻の印象がいい感じに上書きされた。

上巻のダルさの中に小さくパラパラとばら撒かれていた伏線が、下巻の終盤で全部明かされる感じ。
伏線とも思えないほどの、ほんのちょっとした台詞とかが最後には意味を持ってくるという。
ちょっとやり過ぎたんじゃないかと思えるほどだけど、やっぱりなんか爽快な気分すら感じる。

全般においてどうにも少女趣味的なところは感じる。
キツい女だったり、嫌な男だったりも出てくるんだけど、それでもなお性善説を唱えているような感じ。

自分ではどうすることもできない大きくてショッキングな出来事に出会う。
それを受け入れるのか跳ね返すのか、それに潰されるのか。
とはいえ大概の人間はそれでも前に進んでいく。
そのきっかけが、この小説ではとってもドラマティックに描かれている。
バカみたいなマンガみたいなシチュエーション。
タマキとコーキの過去の出会いはまさにそう。
ありえない。と突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるほどの。
けど、それをほほえましく読んでしまうアタシも、意外と雑食だなぁ。

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| 辻村 深月 | 12:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
スロウハイツの神様<上>
なんか最近、こういう上下巻セットを読む機会が多い気がするなぁ。
と思いながら読み始めた本作。
アタシの勝手な辻村さんのイメージは、「ぼくのメジャースプーン」。
この前「太陽の座る場所」というのを読んだようだが(このブログを見返して思い出したほど)。
で、この上巻では、なんとなくアタシ好みの印象を受けなかった。

作家や漫画家のタマゴたちが一緒に暮らすスロウハイツという古いアパートが舞台。
この家主は見た目ヨシだが性格がキツい女性で、そこそこ売れている脚本家。
そしてここには若年層のカリスマ的作家チヨダ・コーキが住んでいる。
ホラあれ。
手塚治らが住んでたっていうトキワ荘とかいうアレみたいな?

そこで起きるアレコレが描かれている。
小説でもマンガでも絵でもなんでも、創り出すという作業を行う人たちの集まり。
カッコよく言えば若手クリエイターたちが集うハイツ。
つまり、それなりに個性的な人間が集まっている。
とはいっても偶然それらの人たちが不動産屋を通じて入居したのではなく、家主の声かけで集まった住人ばかり。
特にこの家主の環という女性がイイ味出してる。

話の筋はどうにもマンガっぽいって言うのかな?
悪く言えば青臭い?よく言えば繊細?
まぁ、いろいろと問題が起こったり人間関係が変わったりとあるけど、思ったほど動きがない。
アレ?思ったより楽しめないのかなぁ〜って思いながら読んでいるうちに上巻ラスト。
このラストで下巻を読む気が盛り上がった。
何かアリそうな雰囲気のTo Be Continue。
さっそく下巻、読んでみる。



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| 辻村 深月 | 12:51 | comments(0) | trackbacks(1) |
太陽の坐る場所
評価:
辻村 深月
文藝春秋
¥ 1,500
(2008-12)

田舎の高校を卒業した同級生たちの同窓会。
田舎に残っている者、東京に出て行った者、東京に出て帰ってきた者。
彼らの間にある嫉妬や憧れや誇示や……。
そんなものが渦巻く同窓会。

同窓会モノで思い出すのが「田村はまだか」。
アレ、意外と面白かったなぁって。
読み始めたころあんな感じのものをイメージしてたんだけど、読み進んでいくとなんかドロリと重たいものでした。

同級生の中のひとり、キョウコが女優として活躍しだした。
毎年開かれている同窓会に顔を出さなかったキョウコを引っ張り出そうと躍起になる幹事たち。
そしてキョウコと向き合うということで、高校生のころの自分たちと向き合うことになる。

……なんていうか、面倒くさい感じの小説。
女子高生の嫌な一面をこれでもかとクローズアップして、それを濃く暗く映し出したような。
その後、大人になってもやっぱり嫌な一面が別のところにも出てきたりして。
なんだかもう、人間ってステキじゃないなぁ〜って思ってしまうような。
語り口が暗いわけでもなく、ものすごく重たい話ってわけでもないけど、なんか気だるい重さを感じる。

で、これって一応ヒッカケなのかな?
キョウコって……。
気づいたときには、「あぁ、へぇ〜」って思ったけど。
なんか余計に分かりにくくなってしまって、いきなり失速してしまったような感じ。
このヒッカケを使った意味はなんなんだろう?ちょっとミステリっぽくしてみたかったのかな?

この作者が書くものって、ちょっと児童文学っぽい印象なんだけど。
こういうのも書くんだなぁって思いつつ、やっぱり既存のイメージのもののほうが好きだなと。

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| 辻村 深月 | 20:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
ぼくのメジャースプーン
ぼくのメジャースプーン
ぼくのメジャースプーン
辻村 深月

これはいい本だな。
心の強さとか弱さとか、小学生の目を通して描かれている。
「●●しなければ××になる」
少年が心からそう言うことによって、相手はその指示を行おうとする。
そんな声を使って人を動かすことができる「力」をもつ少年。
彼はそれを使って、幼馴染をPTSDにしてしまった犯人に罰を与える。

そのための訓練のために通う、親戚のおじさん。
学者でもある彼と少年との会話はとっても興味深い。
とても優しく真摯に少年と向かい合いつつ、ときには人の弱さとか厳しさとかをしっかりと諭す叔父。
こういう大人になりたいもんだ。

そして2人の会話は、犯人に与える罰をどういったものにするのかが核心となる。
アタシならどうするだろう?
殺してしまえばいいという結論ではない。
ただ刑務所に入ればいい?
目が見えなくなってしまえ。
いろんな罰について考えながら、最後に少年が考えた罰をみて、ちょっと「あれ?」と思った。
どこまで優しく、キレイごとなんだろう。これじゃ、せっかくの小説がなんだか、御伽噺みたいになっちゃうなぁ。って。
ところが、実際に少年が犯人に下した罰は、それとは違ったものだった。
これもまた仰天。

心優しき周りの人たちに支えられながら、PTSDの克服に一歩踏み出した「ふみちゃん」。
自らの状態もわからないまま、罰を実行した少年。
なんだか途中でちょっと泣けてきちゃうような、そして最後はほほえましい気持ちで読み終えることができてよかった。
心の匙加減、うまくしなくちゃな。

出版社 / 著者からの内容紹介
「ぼく」は小学四年生。不思議な力を持っている。忌まわしいあの事件が起きたのは、今から三ヵ月前。「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された……。大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは!?

内容(「BOOK」データベースより)
忌まわしいあの事件が起きたのは、今から三ヵ月前。「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された…。大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは。

新書: 337ページ
出版社: 講談社 (2006/4/7)
ASIN: 4061824783


| 辻村 深月 | 09:46 | comments(1) | trackbacks(0) |


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