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アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……
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2009.12.19 Saturday
ニサッタ、ニサッタ
今の時代の底辺のあたりをサクっと掬って描いたみたいな。 大学を卒業して就職した主人公。 ところが数か月でやめてしまい、しばらくは無職状態。 その後勤めた会社が今度は倒産。 というかある朝出勤すると、すっかりもぬけの殻になっていた。 それからの彼が描かれている。 この主人公はやっぱり読みながらいらだたしい気持ちを覚える。 派遣の仕事をしていて、正社員から偉そうにされたとかいってやめてしまう。 自分には向いてないだのなんだのいってやめてしまう。 そうこうするうち、住んでいた格安のアパートさえ追い出される始末。 そしてとうとう消費者金融に手を出す。 そこからは転げ落ちるような様子がなんとも切ない。 多少怠惰だけど、びっくりするほど怠けものでもない。 ましてや悪人でもない。 そのうえ借りたお金も、贅沢品を買うためとかではなく住む場所を確保するためのもの。 まぁ、選び方が甘すぎるって言えばそうだけど、それでも馬鹿な散財というわけでもない。 それなのに、こんな窮地に陥ってしまう。 読みながらちょっと怖いな〜と思ってしまった。 ほんのちょっとの考えの甘さとか、ちょっとしたタイミングとカですべてが無くなっていく。 実家に頼れないというそれだけで、自分で何とかしようと思ったことで、 住む場所さえなくて、いわゆるネカフェ難民のようになってしまう。 今の時代はこういう人のことはだれもが知っている。 ネットカフェで寝泊まりしながら、日雇いの仕事をしている若者たち。 なぜそうなるまでに何とかしなかったのか? とかどうして思ってしまう。 確かに社会のセーフティネットは脆弱すぎて頼れない。 だけど、もうちょっとなんとかできたのではないかって。 ところがこれを読んでいると、その考え方もちょっとやっぱり一方的だと感じる。 本人が、これではマズいと遅ればせながら思ったところで、どうにもならなくなっている。 気づくのが遅かったと言えばそれまでだが、気づいた時点でやり直しができない世の中って。 なんとも世知辛いな〜。 まぁ、これは小説だし、この中では彼には帰るべき家がある。 頼れないにせよ、住むべき家がある。 そして落ち着いて暮らし始めたところで、彼はまた自分の甘さのせいで失敗する。 あぁ。もうどうしようもなくダメな奴。 もう自分なんて消えてしまいたい。 そう思いながらも、立ち直っていく様子がイイ。 ただ、ちょっと気になるのはアイヌだなんだまで出してきて人権のことも混ぜ書きされている。 これはこれで彼が立ち直るきっかけとして使われてるんだろうけど、ちょっとココいるのかな〜。 貧困に陥る若者と、そこから立ち上がっていく姿だけを描いたほうがスッキリ読みやすいかもって思ってしまった。 JUGEMテーマ:読書 2009.03.18 Wednesday
ウツボカズラの夢
ウツボカズラの夢 乃南 アサ 母を亡くし、その後すぐに後妻をとった父から離れ、面識のない親戚を頼って田舎から出てきた少女。 彼女はその親戚の家で静かに暮らしながらも、最後にはその家のすべてのものを自分のものにしてしまうという話。 よくいえばサクセスストーリーとというかシンデレラストーリーも取れなくもないが、決してステキな話ではない。 ウツボカズラってあの食虫植物のことよね。 まさに何もせずに静かにじっとソコにいて、近寄った虫たちを取り込んで自分の栄養にしてしまう。 まさにこの未芙由という少女の存在を喩えたものなんだろう。 裕福な家に暮らしながらも、バラバラな家族を見ながら、自分の幸せを願う。 そしてその家の主人に、長男に取り入りながら、最後には家を乗っ取る少女。 と書くと、なんとも恐ろしい女のようだけど、決してそんな風でもなく。 ただ、結局この話は最後まで読んでみて、何が言いたいんだろう?っていう感じ。 ゆっくりと落ち着いて読めなかったという、アタシの読み方のせいかもしれないけど。 ちょっと残念な読後感が残るものだった。 内容紹介 巷には自己中心的な人、無神経な人など、総じておかしな人がふえている。 それを象徴するかのような鹿島田家の人々の日常をシニカルに描ききることで見えてくる不気味な世界。 問題作「風紋」の作者が贈るエンターテインメントノベルの傑作。 内容(「BOOK」データベースより) 平凡な日常ほど悪意に満ちたものはない。 わたしの願いはただひとつ幸せになること。エンターテインメントの域を越えた傑作。 登録情報 単行本: 420ページ 出版社: 双葉社 (2008/3/19) ISBN-10: 4575236098 ISBN-13: 978-4575236095 発売日: 2008/3/19 2008.10.29 Wednesday
犯意
犯意―その罪の読み取り方 乃南 アサ 裁判員制度ももうすぐ始まる。 抽選で選ばれる裁判員。 ちょっとしたクジにさえ当たらない自分が裁判員になんて選ばれるわけがない。 とタカをくくってはいるけど……。 もし選ばれたとしたらどうだろう? なんとな〜く不安な気分になってしまいそう。 そんなヒトのために書かれた本なのかな? ミステリ作家の乃波さんが、殺人事件を短編で描く。 そしてその犯罪について、弁護士が解説する。 なんだかテレビ番組とかにありそうな形式を文字でやってみましたって感じかな。 この解説は、法律やら過去の判例やらをきちんと整理していて、かなり分かりやすい。 だけど、やっぱり読むのは面倒で、後半はコレ飛ばし読みになってしまった。 昨今は法律番組とか多いから、なんとなく的外れな感想を抱くことは少ないし。 で、乃波さんの短編ミステリですが、やっぱり面白くない。 なんていうのかな。やっぱり犯罪を犯す人はどこか浅はかなところがあったり、自分ではどうしようもない状況だったり。 つまり読んでいて腹立たしいのだ。 しかもこれはその事件の概要が分かることが前提に書かれたオハナシなので、面白さに欠ける。 アタシが普段、ミステリ小説の中の事件にしか向き合ってないせいなんだろうな。 商品の内容 マスコミは報じない犯人の心理に至るまで、ミステリーの名手がこの上なくリアルに描く12の短編小説。 じっくり読んで事件を追体験した後は、熟達の法律家が裁判のポイントをわかりやすく解説する。 証拠は十分? 過去の判例はどうなってる? 裁判員制度に備える最強のコラボレーション。 商品の詳細 単行本: 381ページ 出版社: 新潮社 (2008/08) ISBN-10: 4103710101 ISBN-13: 978-4103710103 発売日: 2008/08 2007.12.27 Thursday
ボクの町
ボクの町 乃南 アサ 警察官見習いの聖大クン。 彼の交番での研修期間がこと細かく書かれている。 小さいことでヘコんだり喜んだりフテたり。 普通のちょっといい加減な男の子が、警察官というものになっていく様子。 決してカッコよくはないけど、いわゆる成長モノですか。 まぁ、悪くはない。 軽い語り口といい、等身大の警察官といい。 だけど、なんだかつまんない。 なんだろうなぁ。 あまりにも普通すぎるのかな。 まぁ、この短期でドジな警察官、本当に普通にガンバレと応援したくなるんだけど。 最後にようやく手柄を上げるという、またまた単純明快な筋書きは嫌いじゃないけどね。 内容(「MARC」データベースより) 彼女にふられた腹いせに、「見返してやる」と志望してしまった警察官。 警察手帳にプリクラ貼って、耳のピアスが手放せない。 警視庁巡査見習い・高木聖大23歳。 こんなボクが交番に立ったら、この町はいったいどうなるの? 単行本: 426ページ 出版社: 毎日新聞社 (1998/09) ISBN-10: 4620105929 ISBN-13: 978-4620105925 発売日: 1998/09 JUGEMテーマ:読書 2006.12.19 Tuesday
凍える牙
凍える牙 乃南 アサ ファミレスで突然男が燃え始める。 かなり穏やかじゃない序盤。 動き始めた警視庁でコンビを組むことになった中年オヤジ刑事と女性捜査隊。 このコンビは、先日読んだあの風の墓碑銘のコンビだ。 っていうか、アタシの読む順番が逆になってるだけで、こっちが最初。 本作でこの2人は始めてコンビを組んでいる。 前後逆になってはいるが、風の墓碑銘よりはこっちのほうが、この2人の関係がすごくうまく出ている。 ファミレスで燃え尽きた死体のあとにでてきたのは、咬み殺された死体。 これがなかなかつながらない。 っていうか偶然でつながってる感じだから、焼死体の方はなければないで、あんまり問題もなかったのかもとは思った。 アタシとしては犬の方だけでもシンプルですごく強い意志を感じられる事件となってよかったんじゃないかとも思うんだけど。 けどまぁ、この序盤はかなりインパクトをもたせることに成功しているんで、やっぱりあってよかったのかな。 この小説では警視庁という狭い社会。 身内意識の強い世界の中で、恐ろしく根強く残るオトコ社会。 そのなかで女性捜査官のつらさとか苛立ちとかを、とてもうまく表現している。 象徴的に書かれているのが、相棒の中年刑事。 彼が女性捜査官に対して抱いているイメージとかが、ありありと見えるよう。 そして最後には、それでもいろんな部分を認めつつある姿にも、うれしい思いをする。 この2人の関係性の発展がこの小説の中でも大きな意味を持っている。 そして事件のほう。 こっちはもう、その犬の賢さ、カッコよさ、誠実さ……。 決して犬好きでもないアタシでさえ、あこがれてしまいそうな動物。 動物というよりは人格を持ったひとりの人間のように描かれている彼が中心だ。 なんともいえない後味を残す結末ではあるが、とってもキレイな終わらせ方。 死ぬなよ疾風……。って思いながら読んでいて、ホッとしたのもつかの間。 ちょっと泣けてきた。 総じてこの小説はわりと面白い。 強いて言えば前段で書いた部分とあわせて、犯人の動機付けが今ひとつ説得力がないところが気になる。 だけど犯人の動機なんて、まったくもって意味不明なわけだし。 まぁ、なんにつけ、この作者も結構な読ませる力を持っているに違いない。 内容(「BOOK」データベースより) 深夜のファミリーレストランで突如、男の体から炎が噴き出した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された死体が発見される。二つの異常な事件に繋がりはあるのか―。捜査を開始した警視庁機動捜査隊・音道貴子と相棒の刑事・滝沢の前に、得体の知れぬ力を秘めた野獣が次第にその正体を現し始める。怒りと悲しみの牙の矛先は、誰に向いているのか。首都高速を舞台に、貴子と獣のスリリングな追跡劇が火蓋を切った。ハードボイルドでハートウォーミングな気鋭の大熱作。 単行本: 380ページ 出版社: 新潮社 (1996/04) ASIN: 4106027453 2006.12.03 Sunday
風の墓碑銘
風の墓碑銘 乃南 アサ この作者の作品にずっと興味を持ちながら、今回ようやく初めて読んでみた。 ひと言で言えば手堅い。さすがだなという感じ。 とってもしっかりとした推理小説を書く人という印象。 この作品も実はアタシ、読む順番を間違えているらしい。 音道・滝沢コンビの作品がすでにあって、これがその最新版らしい。 ……また失敗した。 奥田英朗のときに、反省したはずなのに、学習能力のないアタシ。 確かにところどころに、これまでのこの2人の関係性を表すようなところがあって、 やっぱりそのことを踏まえて読むともっとよかっただろうなぁとは思ったが、 それにしてもこれ単発で読んでもやっぱり面白い。 結構複雑に事件が絡まりあっていて、どこでどうつながるのかを残りページを計算して心配しながら読んだ。 古い体質の刑事(やっぱりこういう刑事が好き)が繰り広げる人間臭い捜査。 その中に、男女差別とか人間の弱さと強さとか、いろんな人間模様が描かれている。 手広くしすぎて失敗……という作品をいくつか読んだことがあるが、この人なら少々手広くてもうまくまとめてしまうのかもしれない。 アタシの中の好きな作家、というか安心して読むことができる作品を書いてくれる作家として、乃南さん、ランクインしました。 内容(「BOOK」データベースより) 東京・下町の解体工事現場から白骨死体が三つ。そして大家である徘徊老人の撲殺事件。真夏の下町を這いずり回ること二カ月あまり。中年の毒気を撤き散らす滝沢の奇妙な勘働きと、女刑事・音道貴子の大脳皮質は、「信じられない善意の第三者」でようやく焦点を結んだ。名コンビは狂気の源に一歩ずつ近づいてゆく…。 内容(「MARC」データベースより) 解体工事現場から白骨死体が3つ。そして徘徊老人の撲殺事件。貴子の脳裏で、ある「笑顔」が2つの難事件を結びつけた。白骨たちの悲しみが貴子を「信じがたい」解決へと運ぶ…。音道貴子と滝沢保の名コンビ復活! 単行本: 492ページ 出版社: 新潮社 (2006/8/30) ASIN: 4103710071 |
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