アタシが読んだ本のことなどをさらさらと……



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クライマーズ・ハイ
クライマーズ・ハイ
クライマーズ・ハイ
横山 秀夫

これはなかなか読み応えのある一冊だったな。
このタイトル、そして冒頭、いわゆる山男の登山関連の小説だと思って疑ってなかった。
ところが読み進むうち、どうやら自分が思い違いをしていたことに気づく。

世界最大の航空事故といわれた日航機墜落事故。
アタシがただの山男なんだと思っていた主人公は、地元の地方新聞社の記者だった。
その彼の目を通して、新聞社の中の人間関係、また家族の関係なんかが描かれる。
引っ張られる感じでついつい読み進めてしまうような力強い小説。

社内の人間関係は、やはりかなりひどい。
っていうか、まぁどこの組織でもそうなんだろうけど、こうして文字で見るとそのひどさにガクゼンとする。
あぁ。きっとウチの職場もこうやって書いてみると相当ヒドいんだろうなぁ……と想像する。

そんな組織の中で、彼はその事故に対する全権を任される。
このことで多忙な日々を送りながら、さまざまな人間関係を受け入れ、ときに衝突しながら、自分の立ち位置を少しずつ変えていく。
仕事に対する思いの違いだけではなく、妬みや蔑みなどの決してキレイじゃないことから、ののしりあう大人たち。
良識ってなんだろうとか、人間性ってなんだろうとか、正義ってなんだろうとか、いろんなことを考えさせられた。

そしてそうした組織の中にあって、それぞれが進む道。
どの道が自分にあっているのかは分からないが、決して組織にしがみつくことだけが立派なわけではなく、また逆に合わない組織からさっさと出て行くことだけが立派なわけでもない。
生き方というのは、ホント人それぞれ。
アタシも自分に合った道を選べるようになりたいな。
結局最終的にはハッピーエンド。
思わずほっとにやけてしまうような感じに終わって、アタシ的にはうれしい。

出版社/著者からの内容紹介
85年、御巣鷹山の日航機事故で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごも。
上司と部下、親子など人間関係を鋭く描く。

北関東新聞の記者・悠木は、同僚の安西と谷川岳衝立岩に登る予定だったが、御巣鷹山の日航機墜落事故発生で約束を果たせなくなる。
一方、1人で山に向かったはずの安西は、なぜか歓楽街でクモ膜下出血で倒れ、病院でも意識は戻らぬままであった。
地方新聞を直撃した未曾有の大事故の中、全権デスクとなった悠木は上司と後輩記者の間で翻弄されながら、安西が何をしていたのかを知る――。
実際に事故を取材した記者時代の体験を生かし、濃密な数日間を描き切った、著者の新境地とも言うべき力作。

若き日、著者は上毛新聞の記者として御巣鷹山の日航機事故の現場を取材しました。
18年という長い時を経て初めて、その壮絶な体験は、感動にあふれた壮大な長編小説として結実しました。それが本作品です。

――記録でも記憶でもないものを書くために、18年の歳月が必要だった。
横山秀夫

単行本: 421ページ
出版社: 文藝春秋 (2003/8/21)
ISBN-10: 4163220909
ISBN-13: 978-4163220901
発売日: 2003/8/21




| 横山 秀夫 | 20:30 | comments(2) | trackbacks(0) |
震度0
震度0
震度0
横山 秀夫

これはもう、警察内部の微妙で馬鹿馬鹿しく、生々しい人間関係が面白い。
警察署管内でのゴタゴタが、管内の部屋をぐるぐると回りながら描かれている。
キャリア組とノンキャリ。各部署間の対立。
そんな内部のゴタゴタに振り回されて、一喜一憂する男たち。


大震災が起こったその日に、有能な職員がいなくなった。
それに対応するために召集される幹部たちの、内面と外面。
そのギャップがリアルな感じで次々と描かれる。
そしてその妻達は官舎の中でまた熾烈な争いをしている。

目の前のテレビ画面が映し出す震災の大惨事。
そして自らの署で起こっている職員の失踪。
出世欲にとらわれた男たちのとる行動が実に奇妙で、そしてそれは現実感たっぷり。
ともに知恵を出し合い解決するのか隠すのか。

情報が欲しくてたまらなくて右往左往する人間たち。
そしてその情報を自分の手札にしたくて、なんとしても隠したい人間たち。
本当に人間の汚い、嫌な面がどんどんと加速をつけて浮き彫りにされていく。
それでも最後は良心というものが動き出す。
上手くまとまっているけど、なんかアタシの住む世界とは違いすぎるせいか、
今ひとつ気持ちの入れようがなかったな。

出版社 / 著者からの内容紹介
阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、四年前の選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口がなかなか掴めない……。

単行本: 410ページ
出版社: 朝日新聞社 (2005/7/15)
ASIN: 4022500417


| 横山 秀夫 | 14:54 | comments(0) | trackbacks(1) |
出口のない海
出口のない海
出口のない海
横山 秀夫

戦争をテーマにした重い小説。
戦時中の日本で大学野球を行っている男子学生。
小説の前半は、怪我に対峙しつつ野球への思いを書いた
まさに青春小説という雰囲気がいっぱいだが、
後半は学生も戦争に駆出されるようになって、
戦争という狂気の時代の中で、
死を見つめ、受け入れ、そして反発し、
戦争の目的を問いながら日々を過ごす、
戦争小説になっている。

「神風特攻隊」というのはよく聞くが、
ここでは人間魚雷「回天」という
恐ろしい兵器が取り上げられている。
兵器の一部に人間が組み込まれたもの。
よくもまぁ、こんな恐ろしい兵器を思いついたものだ。
これもまた戦争という狂気がそうさせるのか。

人間魚雷の搭乗員。
つまり、確実に死ぬことが決まっている兵士。
そんな状況の中、自暴自棄になったり、
悟りを開いたようになってみたり、
生きることへの執着を感じたり、
家族や恋人への思いを断ち切れなかったり。
そんなふうに浮き沈みを繰り返しながら、
ようやく出された出撃の令。

それはまさに死に向かう出撃のはずだったのに、
いざ心を決めた直後、機械が動かずに船に戻る。
いったいどんな思いがするんだろう。
もしかしたら助かったと思うのか?
などと思ったが、この主人公は抜け殻みたいになっちゃった。

そして最後には、まったく別のことを思いつく。
自分が死んでまでその兵器になる意味。
戦争のために人間魚雷に乗り込むということの意味はなんだ?
負けかけている日本で、自分ひとりの命で何が救える?
家族がみな殺され、また自ら志願して兵器になるよう教育され……
そんな世の中のために死ぬんじゃない。
そんな日本の未来を守りたいんじゃない。

日本は降伏して、一からやり直すべきだ。
そのときに、こんな恐ろしい兵器があったこと、
そしてそれに乗り込んで死んでいった人間がいること、
そういったことを封印することなく、
次代に残すことで、戦争の愚かさを伝えたい。
……聖人のようだ。

この平和な日本で平和ボケしているアタシ。
やっぱり平和のありがたさとか、戦争の悲しさとか、
そういったことに思いを馳せることを忘れちゃダメだな。

単行本: 301 p
出版社: 講談社
ISBN: 4062124793 ; (2004/08/06)

甲子園の優勝投手は、なぜ、自ら「人間兵器」となることを選んだのか。
人間魚雷「回天」海の特攻兵器。脱出装置なし。
甲子園の優勝投手・並木浩二は大学入学後、ヒジを故障。新しい変化球の完成に復活をかけていたが、日米開戦を機に、並木の夢は時代にのみ込まれていく。死ぬための訓練。出撃。回天搭乗。しかし彼は「魔球」を諦めなかった。
組織と個人を描く横山秀夫の原点。


| 横山 秀夫 | 12:33 | comments(0) | trackbacks(2) |


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